現在は、かつてほどではないが、バリバリ?の働き盛りの時は、町や駅中の立ち食いそば・うどん屋があると、体が自然とそちらに引っ張られてしまうのであった。特に地域に根ざした個人営業に近い珍しい立ち食いそば・うどん屋だと、どんなに抵抗しようがダメなのである。足がそちらに向かい気づくとカンターに立っている自分がいるのであった。そんな方は多いとは言わないが、少なからずいるように思うが、如何だろうか。遡って記憶を辿って、立ち食いそば・うどん屋で強く印象に残っているのが、まだ、小学校の時、東京のお茶の水を歩いている時に、店からお客が溢れだし、店の特設のベンチに座りながら、多くのサラリーマンがそば・うどんを啜っていたにだが、店を覗くと、カウンターの上のガラスケースに天ぷらが各種置いてあるのを見て、凄いなと思いつつ、つい唾が鳴ってしまったのであった。これが、後の末広、六文系の立ち食いそば・うどん屋だということを知り、その後、六文系のそば、うどん屋に頻繁に顔を出し、ゲソ天そばをメインに、ソーセージ天、玉ねぎ天、なす天、ピーマン天、春菊天、かき揚げ天、コロッケ等を組み合わせて食べたものである(現在進行形)。因みに現在日本で天種が断然一番多いのは(No.24)で紹介した東京荒川区日暮里の「一由そば」でることを読者に伝えておこう。
また、地方に旅に出た時に、駅の待合室の横には、立ち食いそば・うどん屋が必ずあったものである。特に東北などは、東京(そば粉の割合が四<うどん粉>六<そば粉>)と違い、ちゃんとしたそば(10割とまではいかないが、二八ぐらい)を出しており、子供ながらに、両方同じものなのか考えさせられたものであった。
とにかく、65年の人生で、どれだけお世話になった場所であったか、いくら感謝してもしきれない場所なのは確かなのである(私のソウルフードと言っても間違いない)。
ということで、本日は横浜三大駅そば(相州そば<後日投稿>を入れると横浜四代駅立ち食いそば・うどん)の最後(No.101、No.110)横浜桜木町駅の「川村屋」を紹介したい。


この「川村屋」さん、3年前にマスコミなどで大変話題になったのでご存じの方は多いと思うが、この店は2023年末日をもって明治32年の創業以来の営業に幕を閉じたのだが、それから半年後(9月)、大復活。かねてからの大ファンが狂喜乱舞(大げさかな)したのは言うまでもない。マスコミも駆けつけ、その名は全国区とは言わないが、東京中には知れ渡ったのである。私もその報道を耳にして、かつてを懐かしんだものである。
かつてとは、現在(2026年)からすると30年前、ちょうどその頃、会社から独立して、自らの会社を立ち上げたのだが、まだオフィスもなく、横須賀に住んでいたため、東京での仕事が終わると、居場所がなく、途中の横浜でブラブラするのが日課であった。その時、足繫く通ったのが、桜木町ぴおシティの地下2階の飲み屋街で、この場所、何の後ろめたさなく、昼飲みができる穴場的な場所なのである(人生辞めたい方はぜひとも顔を出してね)。その時は、私の場合は、これからの会社経営の不安と期待を胸に秘めながら、様々企画を練るのだが、その興奮の頭を酒で解きほぐすという目的のために飲んでいたのである(ほとんど都合の良い言い訳である)。そして、そこで飲んだ後に〆でしばしば寄ったのが「川村屋」さん。ごめんなさい、その時は何の変哲もない使い勝手の良い店の印象しかなく、味の記憶もほとんどないのである。故にまさに2023年の復活で、「川村屋」という名前も歴史も知った次第である。
さて、毎週金曜日の17年間の横浜の勤めも終わってしまったので、久しぶりの横浜訪問。桜木町駅関内方面の改札を出て右側にお目当ての「川村屋」がある。ここも立ち食いそば・うどん屋としては「鈴一」と同じように絶好のロケーション。入らずにどうする状態なのである。ただこちらは裏口で、表口は外の道路に面している。せっかくなので表口に回り入店(律儀である)。表口は何だか喫茶店風。入店すると左側が厨房で、受け渡しカウンターもここにありチケットは自動販売機で精算(表、裏側に2台設置)。右側に13人ほどが座れるカウンターが奥まで並ぶ、中規模な立ち食いそば・うどん屋さん。


まずは、自動販売機の前で、何を食べるか思案橋。入口の立て看にも店内壁にもデカデカト桜木町名物とり肉そば・うどんと宣伝。やはり、これかと思ったのだが、それに生玉子が入ったとり玉そばに変更し、その上に健康のために山菜を追加トッピング。チケット購入(筋トレをしているジジイとしては、タンパク質が何より必要)。受付でそばと返事をし、待つこと30秒、品を受け取り空てるカウンター席へ向かう。目の前の親子そば(私のネーミング)をしばし眺め、余り胸肉が好きではないのだが筋肉のためと思い、まずはそばを箸で摘まむ。そばは四六ぐらいの立ち食いソバ屋によくあるタイプ。汁も薄口醤油にカツオのほのかな香りの、まさにTHE関東風。なんの変哲もないが、これでイイのだ。立ち食いそば・うどんに何をもとめるのか。とり肉は前述したとおり、胸肉で、タンパク不足気味な日本人には絶好。そして、山菜(ぜんまい、わらび)が食の後ろめたさを緩和してくれる。テーブルに置いてあるケースに入った新聞記事を眺める(写真添付)。「川村屋」の歴史にいやはや驚かされる。何と横浜駅の開業(当時は現在の桜木町駅が横浜駅)当初からあり(最初は洋食屋)、6代目の2023年で、「50年問題」(No.73も参照)と言われる後継者問題で閉店を余儀なくされるが、6代目店主の娘さんが継ぐことになり復活。123年という伝統が断ち切れることなく継承されたのだということ。これはメデタイことである。「川村屋」は幸い復活することができたが、現在、長い歴史伝統を持った店が継承者問題で、どんどん潰れているという。これは、日本という国の大きな損失なのである。何とかならないものか嘆きながらそばを啜る。まてよ、そういえばこのジジイの家も私と兄(一人娘は他家に嫁ぐ)が死ねば、この世から亡くなるのだなと、結婚もせず子供も産まなかったお前が一番悪いのである。偉そうに後継者問題などと何面さげて言えるのだと、天の声が聞こえてきたのである。いやはや種を後世に繋げられないほんとうにダメな男(生物)なのである。何だか立ち食いそば・うどんの話が、種の保存まで発展してしまいました。さて、気を取り直してぴあシティにでもいって一杯飲んで帰ろうと店を出たバカなダメジジイがいたのであった。


店名 川村屋(かわむらや)
ジャンル 立ち食いそば、うどん、丼
お問い合わせ
045-201-8500
予約不可
住所
神奈川県横浜市中区桜木町1-1 桜木町駅構内
桜木町駅から18m
営業時間
月・火・水・木・金・土
07:30 – 20:15
L.O. 20:10
日・祝
08:30 – 20:15
L.O. 20:10
年末年始(12/30〜1/3)は休み。
支払い方法
カード不可
電子マネー可
(交通系電子マネー<Suicaなど>) QRコード決済不可