No.105   兵庫県淡路島、伊弉諾と伊弉冉がお生みになった初発の島は、只々上陸だけで感謝感激なのである。ソウルフードという目的はどうでもよくなりました。(神戸はいつも雨だった編③)

 100投稿記念のオジサンの好物紹介企画のため、途中の神戸の旅を中断していまい、今回から、また本格的に神戸の旅(No.99の続き)をスタートしたい。
 1日目の夜はK氏が奢ってくれるというので、全てお任せ状態。有難いことである。連れて下さった食事処は「福寿」という日本酒の蔵元が営む「蔵の料亭さかばやし」。酒蔵を含む4つの蔵からなる神戸酒心館という施設の中にある。さすが日本酒の街・神戸を思わせるような処で、六甲山の里山をイメージして設計されたそうだ。渋い木造建築にあたる淡い彩光が落ち着きを与え、一際全体(すべて)に高級感を漂わす。こんな処、会社の接待でしか使えないなと思いながら、お店に入店。広々とした空間に平日でお客は疎らだが、根性入れて堪能するかとコース料理を舌鼓。料理の詳細は地方のローカルフードを紹介する企画なので控えさせていただくが、言わずもがなだが結構なものであった。「福寿」の原酒生酒も料理に花を添えた。そして、楽しい食事をしているとK氏から明日淡路島に行かないかの誘い、断る理由もなくお誘いに乗ることになった。まさか淡路島に行けるとは想定外だったので、いまだ神戸は霧の中だが、この先の旅に明るい光が差してきたような、そんな気分で料亭を出たのであった。
 さて、翌日は、早めに起き、隣の生田神社に1日の無事を祈願しK氏の車を待っ。天気は相変わらずで、どんよりとした雲が空を覆っている。8時にホテルの前で待っていると、いつもの愛車トヨタのWill ViでK氏登場。早速淡路島へ向かう。

 神戸三宮から淡路島までは瀬戸内海沿いを50分ほど、途中、「源氏物語」や源平の「一の谷の合戦場」で有名な須磨を過ぎ、明石海峡大橋渡る。晴れていれば、絶景かな絶景かなのはずだが、霧にむせぶ夜ならぬ昼間。視界には薄ぼんやりと海が見えるだけ。塩屋から垂水を過ぎる頃は目の前に明石大橋が現れるはずだが、一向に現れる気配なし、只々霧が晴れるのを願ったのだが、大橋に乗っかってもダメだコリャ状態だった。とりあえず淡路島の先端に到着。下りのサービスエリア(SA)でランチをとることに。ここには大観覧車があるが、この天気なので動いてもいない。オーシャンビューを眺められる絶好エリア(TVでよく観る)からも大橋はターナーの絵画のよう、だが、これもなかなか趣があると思えば思えなくはない。さて、SA食堂で、名物玉ねぎラーメン、シラス丼と海鮮丼を注文し、淡路島の食のレベルを、まずは調べる。SAにしてはかなりのレベル。淡路島と言えば玉ねぎが全国区で轟いているが、玉ねぎは大好物なのだが、オジサンには玉ねぎの良し悪しはまだ分からない。故に他の玉ねぎと淡路島産の玉ねぎとの違いなど分かりようがないのである。

 SA(下り)を出て、ズーっと南あわじまで下ってゆく。大橋を渡ったといえ車に乗っているからか島にいる感覚がない。先ほどまで霧に覆われていたが、少しずつ空が明るくなってくる(良い兆し)。K氏から徳島の鳴門まで下って渦潮を観ようというアイデアが、四国までそんなに近いのかと、東国のオジサンは驚くのである。行けるのなら四国初上陸、喜ばしい限りである。とにかく運転手のK氏まかせで島をどんどん南に下って行く。この島、縦に長い島なのだなと、ごま油のかど屋や「二十四の瞳」(小豆島)が淡路島だと思っていたほどの男が、60歳を越え淡路島という島を知りつつあるのである、長く生きているものである。40分ほどで島南端に到着。大鳴門橋を渡りグルグルと道路を旋回する。今、淡路島側にいるのか徳島県側にいるのかがわからなくなる。福良港の渦潮クルージング乗り場に到着。2月の平日という時期だけに乗船場は数えるほどの人。船は11:30分から40分ごとに出発だそうだが、本日、渦潮は現れないがそれでも良いかと親切な係員。しゃーない、ここまで来たのだから記念に乗船だけして雰囲気を味わおうということで、船の出発を待つ。船は数えるほどの乗船客だが港を出て鳴門海峡へ、海は穏やかである。この海峡は四国と淡路島に挟まれた幅の狭い海峡で、瀬戸内海と紀伊水道の潮の満ち引きの激しい潮流と、鳴門海峡の地形によって発生するらしい。特に、海底が複雑な地形のため速い潮流と遅い流れの速度差が生じ、渦を巻く現象が起こるという。船は大鳴門橋の方へ。デッキに立って海を眺めていると徐々に波が荒くなり、船が揺れ出してくる。濃いブルーの海に白浪が激しく立つ。転覆しないかと不安になるほど。船は大橋の真下入る。これは渦潮ではないか見紛うほどに荒れているが渦潮ではないらしい。しかし、聞きしに勝る激しさで、ほんまもんの渦潮が見たくなってきた。船は30分ほどのクルージングを終え、我々も無事、帰港と相成った。年寄には良い刺激になったのである。

 さて、乗船場で名物鳴門の昆布をお土産に買いぶらぶらと、おーっとやはりここにもNo.44「金ちゃんラーメン」があるではないか、さすが「金ちゃん」、徳島ではなくてはならいのだろう。次に我々は島の西側、播磨灘方面に車を走らせる。霧は完全に晴れ、青空さえ現れてきた。淡路島には様々な花景色で有名な公園が数あるのだが、2月という時期が時期だけに、そこへは寄らず、この島に来たら絶対に外してはならないドエライ神社伊弉諾神宮へ。まずはおのころ島神社へと思ったのだが、おのころ島は溶けて流れて島にならなかったのだからではないが、時間の関係で、やはり淡路島一之宮へと相成った。日本最古の神社である。奈良桜井の大神(おおみわ)神社が一番古いと言われているが、皇国史観的にはここが最古なのである。神社前に到着。守りの阿吽の獅子を両脇にして、さすが鳥居は神明造りで何とも清々しい白色。鳥居を潜ると灯籠を脇に真っすぐに長い参道。第二鳥居が聳える。それをまた潜ると右に庭園(方生神池)、そして正門(表神門)と本殿へと続く。さすが延喜式名神大社、三代実録神格一品、旧官幣大社で兵庫県唯一の「神官号」を宣下された神社、居ながらにして、ぎゅっと体が締まる。正門を潜ると空間が大きく広がり、三間社流れ造りの本殿が現れる。規矩通りの拝礼をして、しばし、<気>に当る。祭神は当然のごとく伊弉諾尊、伊弉冉尊、天照大御神の両親である。しばし、境内をぶらぶらし、天然記念物の夫婦楠を拝見。どこから仕入れてきたのか、K氏からお土産にと玉ねぎを三つ手渡される。その行為が何故だか滑稽だったので笑い転げてします。「陽のみちしるべ」というモニュメントがあり、説明書きに興味がそそられる。

 「陽の道しるべ」-伊弉諾神宮を中心にして、まるで計算されたように、東西南北には縁ある神社が配置されている。神宮の真東には飛鳥藤原京、さらに伊勢皇大神宮(内宮)が位置しており、春分秋分には同緯度にある伊勢から太陽が昇り、対馬の海神(わたつみ)神社に沈みます。そして夏至には信濃の諏訪大社から出雲大社、冬至には熊野那智大社から高千穂神社へと太陽が運行します。この神社、まさに大由緒ある神社の中心に位置しているのである。

 こんなに有難い神社に参拝できて、まさに充実の淡路島弾丸ツワーであった。神戸への帰路の途中、最近若者に人気の幸せのパンケーキを食べられる「淡路島テラス」の個室で淡路島の地ビールとド迫力のパンケーキを食べて、しばし海を見ながら寛いだのであった。さて夜は、三宮で神戸のローカルフードでも食べますかと、大橋を渡ったのである。

幸せのパンケーキ(淡路島テラス)

蔵の料亭 さかばやし
ジャンル           日本料理、海鮮、そば
予約・お問い合わせ      
078-841-2612

住所   
兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-8-17

交通手段          
阪神石屋川より徒歩8分
石屋川駅から408m

営業時間          
月・火・木・金
11:30 – 15:00
L.O. 14:30

土・日・祝日
11:30 – 17:00
17:30 – 21:00
L.O. 20:00

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