No.90 愛知県名古屋市中村区「ひつまぶし 備長」エスカ店で全国区になりつつある愛知アイデアソウルフードを食べたのだが…(名古屋めし食いつくし編⑤)

 <うなぎ好き>である。このブログも最初は「うな十郎の全国うなかばぶった斬り」と言うテーマで始めるはずだったのだが、「うなぎのかば焼き」ほど批評が困難な料理はないという結論に達し、断念、現在の「ソウルフード」になったのであった。まず、高級な国産うなぎは、どれも甲乙つけがたく、それでは批評対象は何かと問うと、焼き加減とタレの味になってしまうのである。これがまた、深く突き詰めるとなると、如何なものか、どれも似たような原稿記事になってしまうことを懸念してのことであった。
 しかし、自分の中で、現在でも一番好きな食はと問われれば、真っ先に「うなぎのかば焼き」と応えるだろう。そして、自ずと私の最後の晩餐は「うな重」だと言い切れるのである。蛇足だが、今でも、私の糖尿病の原因は「飴ちゃん」と「うな重」だと思っている。


 そこで、このような<うなぎ好き>が名古屋を訪れたならば、食さなければならないのが、「ひつまぶし」だろうと、名古屋で一番有名な熱田神宮前の「あつた蓬莱軒」に向かったのだが、あえなく長蛇の列で撃沈したことは前々回(No.88)に書いた。しかし、その後も「ひつまぶし」は「蓬莱軒」だけではないと、観光しながらも、どこかの店へと機会を伺っていたのだが、ちょうど名古屋のエスカ地下名店街に「ひつまぶし 稲生(いのう)」と「ひつまぶし 備長」を見つけ、どちらかに入ろうと、地下に潜りこむ。この名古屋エスカ地下名店街は、とにかく名古屋名物揃い組の地下街で、名古屋ビギナーならば、まずはこの地下街に行くことをお勧めする。大変年季が入った地下街だが、都市はどこでも、デザイナータワービルの資本まかせの<屁>のような店舗よりも、このような不易な地下街の店舗が間違いないのである。さて、地下をキョロキョロしながら歩き、まずは<稲生>と<備長>の品比べ、前者は並びが0人で、後者は20人ほど。素人はつい行列に弱く、20人ほどならと後者に並んでしまう。私も「うな重」は玄人だが「ひつまぶし」は素人なので、つい行列の方に…。

 この選択が吉とでるか凶とであるか?お酒を飲むような場所ではないとは言え、「ひつまむし」を食べるのはかなりの時間を要しそうなので、1時間は待つかなと覚悟の上だったが、割と回転が速く、20分ほどで入店。カウンター4席、4人テーブル8卓、2人テーブル2卓の中箱店。中ほどのテーブルに案内され着席。メニューをジックリ拝見。まずはエビス生ビール 中(780円)と肝焼き(1,000円)を注文。そしてメインを検討する。連れと一つずつ「ひつまぶし」を頼んでも、絶対食べれないと思い、私は長焼(3,350円)で酒を飲み、「ひつまぶし」を少し貰うことにする。肝焼きは串には刺していず、小鉢にそのまま載せてある。まずは一口頬張る。さすが値段が張るだけあって、上等の肝。臭みはないし、タレも甘からず辛からずの一品。ビールが旨い。からり芋の焼酎をグラスで所望(640円)し、長焼き(かば焼き)を待つ。隣の若いアベックは、酒も飲まず、一つずつ「ひつまぶし」を注文し、勢いよく米を頬張っている。60を越えたジジイと違い、若さって素晴らしいものである。オジサンも糖尿になる前はこうだったような気がする。そうこうしていると長焼きと「ひつまぶし」が到着。オー、色艶の素晴らしいウナギである。名古屋は蒸さない関西風が多いが、ここは店名通り、備長炭を使用した「地焼き」が特徴だと言う。さて、と箸で一口サイズに切り、口へ。中々良い塩梅のウナギだが、蒸してあると尚旨いだろうと考えてしまうのが関東人(関西風だと見た目中国産風に感じてしまうのは何故だろうか)。タレは東京より甘めだが、これは「たまり醤油」を使っているからだろうと思う。はっきりいって東京の上品で甘くないタレよりも、私はこちらのほうが好みである。関東の醤油は(野田、銚子、館林)どこの地方醤油より洗練されて旨いと思うが、ウナギのタレには「たまり」が合うのではと思うのは私だけだろうか。東京で甘めのタレに出会うのは「登り亭」などの大衆ウナギ店ぐらいで、滅多にないのは残念(特に高級店には)なのである。メインの「ひまつぶし」、最近では東京でも食べられる店が増えたが、スミマセン、オジサンは浅草の「うな鐵」で2度ほど食べただけなので批評のしようがない。しかし、さすがにこの店のクオリティーは高く「うな鐵」よりも数段上だった(値段も違うのだからしょうがないと思うが…)。そして、「ひつまぶし」のうなぎは蒸して柔らかい関東風よりも地焼きの関西風のほうが合うのだろうということを認識いたした次第である。

 それよりも「ひつまぶし」は、さすがアイデア王国名古屋が作り出した良く考えられている一品だとは思うのである。新宿のすずやの「とんかつ茶づけ」や(No.82で紹介した「うずわ定食」)も、オリジンは「ひつまぶし」で、パクリなのだと思う。また、このアイデアはどんどん使われそうである。「焼き鳥茶づけ」「餃子茶づけ(脂っこくてサラサラとはいかないが)」などは、どこぞの変わり者が提供しそうである。
 しかし、今回「備長」には申し訳ないが、やはり選択を誤ったのであった。この「ひつまぶし 備長」は東京の丸ビル、銀座(三越他1店舗)、池袋(パルコ)にあもり、何と私の自宅の目の鼻の先東京スカイツリーにも店を構えているのである。何で名古屋くんだりまで行って食べなければならないのかと、食べてた後に知ったので、後の祭りであったが…。
 今度は「ひつまぶし 稲生」にお伺いさせていただきます。

備長(びんちょう) エスカ店

ジャンル    うなぎ
お問い合わせ      050-5869-4404
予約可
住所      愛知県名古屋市中村区椿町6-9 エスカ地下街

JR名古屋駅新幹線改札口すぐ / 地下鉄桜通線名古屋駅 徒歩3分 / 名鉄名古屋本線名古屋駅 徒歩7分

名古屋駅から202m

営業時間             
11:00 – 15:00
L.O. 14:30
17:00 – 22:00
L.O. 21:00

営業時間
※うなぎが無くなり次第閉店します。ご了承下さい。
定休日 エスカ地下街に準ずる