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　「チャーシュー弁当（チャー弁）」をゲットして「としまや新宿店」を出ると、急に空腹感に襲われる。周囲を見渡してもお店らしきものが見当たらないので、とりあえず木更津湾岸沿いを歩くことに。とにかく暑いので、亀歩きでも汗が噴き出てくる。目の前には離れ小島に大きな橋が架かって、レジャースポットのような風情を醸しだしている。進行方向に回転寿司店の看板とガストが見える。よし、寿司でも摘まもうと早亀歩きになり向かう。勢い込んで店の前に到着するも、ガビーン、何と本日休日。隣のガストを横目で見るも、さすがにここまで来てガストではお粗末過ぎる。思案に暮れ、ここで弁当でも食べてしまうかと手にぶら下げている袋を見下ろすが、やはり写真もとらずに食べるのはマズイと思いとどまる。万策尽きたと周囲を見渡すと、遥か前方におぼろげに何やら建物立ち並んでいる。目を凝らして見ると、何と＜海鮮・浜焼・海老＞の文字が並ぶ。

　そう言えば木更津は房総半島、浜焼で有名だと、かつてTVで見た記憶が蘇る。神は私を見放してはいなかった、と気を取り直し、またトボトボと亀歩きでそちらに向かうのであった。今日は平日、また休みではという不安が頭を過ったが、もう打つ手はない、前進あるのみと額の汗を拭う。店の全貌が把握できるところまで迫ると、いままで人の気配が少なかったのに、多くの車が止められ、人がゾクゾクと現れる。時計を見ると時分時でもあり、周囲から人が押し寄せているようである。とりあえず一安心。お土産屋さん風の店があり、それを越えると二軒浜焼の店があり、大きい建物の「活き活き亭 富士見店」に入る。中は体育館のように広々としている。入口でキョロキョロしていると、中年の女性店員が、システムを説明してくれる。現在はランチタイムなので、ランチを食べる客は右側へ、浜焼だけの人は左側のテーブルとのこと。浜焼は水槽から置いてあるお皿にとり精算所に向かいお会計をして、テーブルに持って行くとのこと。入口には水槽に入ったハマグリ、ホタテ、伊勢エビ、サザエ、アワビが並び他にソーセージや串焼きや焼きおにぎり等がケースに入っている。どれもさすがに新鮮で、かつサイズも大きいが、値札をみるとそれなりの値段。ハマグリが４つで2,000円、サザエが一つ800円とさすがに手が出しにくいが、まあ、ハマグリ（４つ）とサザエ２でひとつは御造りにしてもらい、つぶ貝串（2つ）にビールを頼む。右のランチ席は客で溢れ、左の浜焼席は疎らという状態なのは、こういう事情なのかと納得する。多くはランチを食べに来ているのである。ランチメニューはさすがに食べがいがありそうでコストパフォーマンスよさそである。
　浜焼は観光客相手で足元を見た商売をしているようにも感じるが、まあその辺はご愛敬であると太っ腹なバカオジサンはお金を落とすのであった。しかし、さすが「活き活き亭」、どれも活き活きとして、さすが浜焼のチェーン店のI商店などとは違う（値段が違うから当たり前だけど）。ハマグリを追加し、ビールのお替りとウーロンハイを追加で飲んで二人で何と10,780円。懐は淋しくなったが、まあ満足とは言えないが、良しとしようと店を出る。
　調べれば、東京の新橋にも店があるらしいが、まさかこの値段ではないだろうし、もう少し質を落としているのではないかと憶測してしまう。隣のお土産屋を少しひやかして、また亀歩きで木更津駅に向う。店にはあれだけの人がいたのに、駅周辺は我々の貸し切りかと思われるほど人の気配がない。道の駅やアウトレットモールなどは人でごった返しているのだろうが、駅周辺に廃れていると、何とも侘しいものである。駅前ビルは元そごうだったこと、しかし、いくらなんでもここまで人がいなくなるものなのか、木更津の歴史文化を語る一番の肝は湾から駅周辺のこの一帯だろうと思うのだが、木更津市民よどこへゆく…。とここまで書いてきて、この原稿の目的は「チャーシュー弁当（チャー弁）」と「バーベキュー弁当（バー弁）」を語ることだったのだが、なんだか辺な方向へ言ってしまった。
　私の感想だが「チャー弁」は非常に味付けが濃く、癖になる弁当だが、これらしき弁当はどこにでもあるような。「バー弁」はなかなか洗練されていて完成度が高く、これならもう一度食べてよいと思わせるほどの一品だと思った。ただ、弁当がソウルフードになって悪いなどとは決して思わないが、木更津という町ならもっと歴史と伝統のあるソウルフードがあって良いように感じるがどうだろうか。ただし、浜焼は絶対ソウルフードにはなりません。