No.45 神奈川県平塚市の「どさん娘紅谷町店」でラーメンを食える時がくるのだろうか?

 今年(2021年)も早いもので暮れようとしている。この年齢になると、後何回師走(しわす)を迎えることができるのかと、年末の慌ただし中で、ふっと孤独に自分を顧みる瞬間がくるのも習わしになっている。しかし、直ぐに喧噪の中でそんなことを忘れてしまうのであるが…。
 そんなことを忘れた私は、本日は、非常勤講師をしている女子大学の講義で長年手伝っていただいているデザイナーのS氏と忘年会をかねての平塚ソウルフード巡りを2回に分けてご報告したい。
 S氏は小田原在住で仕事でもよくこの平塚に訪れていること、その彼の推薦もあり、ぜひとも平塚のソウルフードを堪能してくれということで、それでは忘年会にと相成った次第である。私平塚は初めてで、それこそ厚木の近くで、もっと神奈川の内陸だと思っていたほど、この土地には無知だったのである。しかし、駅に降りた瞬間、ここは何かあるなと直観力が働いたのも確かであった。東口を出ると、都まんじゅうと天津甘栗の店(最近見なくなった)があり、まだまだ醜悪な駅前開発が進んでない昭和の匂いを醸し出している。
 まずはS氏推薦の一件目、「どさん娘*紅谷町店」に向かう。S氏の後ろをスタスタと亀歩き、駅前の路地奥に目的の店が現れる。S氏「汚いからね」と忠告してくれるが、これは聞きしにまさる店構え。さすがに私も不安になり一瞬たじろいだが、店から中を覗けず(ドアくもり、また貼物で被われているため)、営業しているのか否か皆目分からないが勇気を出してドアを開ける。お客はテーブル席に一人(4人掛けテーブル2卓とカウンター5席)だけ。中年のご婦人2人が出迎えてくれる。奥のテーブル席に腰を落ち着ける。周囲を見渡すと、さすが年季が入ってはいるが、場末のホルモン焼き屋にある油感だけで、華僑系経営中華屋のどん底の汚濁感はないので一安心。まずは瓶ビールを注文(生ビール無)。しばしメニューを眺める。心の中で<なんじゃこれは>の叫びが…。ジンギスカン(400円)、ホルモン(300円)、ミクス焼き(350円)、カルビ(500円)、ビール大瓶(550円)、ちょっと<安すぎない>とまたまた心の叫びが…。普通は安くて喜ぶところだが、様々の経験をしてきたオジサンは逆に心配になってくる。安かろう〇〇〇〇、冷凍?どんな質の肉が出てくることやらと。まあ、不味ければ味噌ラーメンでも食って出ようかと思ったが、本日はこの後2軒目はラーメンなのでそれは出来ず、今後の展開が心配になってくる。とりあえずは、ここの名物ジンギスカンとミックス焼き、それとニンニク焼きと野菜焼きを注文。ニンニク焼きは即座にテーブルに。

 ニンニクを焼きながらしばしS氏と歓談。聞けば明石町に大衆焼肉という名の本店があるらしく、その他にこの「どさん娘」を含めて(大衆焼肉支店<紅谷>、ジンギスカン<伊勢原>、ジンギスカン<茅ヶ崎>)4店舗を展開しているということ。「どさん娘」のラーメンをメニューに入れているのはこの店だけで、よく分からないがオーナーの趣味だということ。私の推測するに、前に「どさん娘」のラーメン店があって、場所的良いので、オーナーが「どさん娘」の権利ともども買い取って焼肉屋したのではないかと思うのだが穿ちすぎかな。本当なら本店の「大衆焼肉」に行かなければならないところだが、本店は17時からで、こちらは昼から中休みなしで営業、どうしても時間がつかずこちらにしたとのこと。まあ、肉やタレは同じだということなので全然かまいませんが…。
 ジンギスカンとミックス焼(鳥肉)が一皿で、それと野菜焼きも到着。えー量はそんなに多くはないが思ったよりクオリティーが高いのである。ちゃんとした生。ジンギスカンは私が自宅で食べる松尾や小樽ジンギスカンより旨いのではないか。こらりゃいいやと今度はカルビとホルモンを注文。緑茶ハイとS氏は瓶ビール追加。カルビもグー、特にホルモンはそれなりの値段の焼肉店のそれより上等なのではと思わせるもの。食べるのと話すのに夢中になっている間、一人焼肉客が入れ代わり立ち代わり現れる。おーっと味噌ラーメンだけを注文する客も(驚くことはないのであるここはラーメン屋である)。ここの名物酒の梅割り酒を注文、S氏はビール1本追加。良い気分で酔いが回ってくる。気づいた時には、店員さんのご婦人二人は居なくなっており、若く見えるが年齢不詳の男性と交代していた。〆でラーメンを食べたくなったが、我慢。お勘定をお兄さんにお願いする。何と5千数百円。しばし何かの間違えではと思い店を出たのである。
 そういえば、厚木のシロコロホルモンなど、この地域は焼肉の激戦区だと聞いた時があったが、オジサンはこのコスパにはたまげたのである。地域住民は幸せだなーと思いながら、次の店へほろ酔い足で向かったのであった。
 しかし、果たしてここでラーメンを食える日はくるのだろうか?来ないだろうなー。
                                  <No.46につづく>

※どさん娘(どさんむすめ)
サトー商事が展開したラーメンチェーン。1968年創業。北国商事(現:アスラポート)の「どさん子」を模した店舗名であり、当初はこちらも「どさんこ」と読んでいたが、北国商事との裁判で敗訴したことにより「どさんむすめ」に読み方を変更した。

どさん娘 紅谷町店
ラーメン、焼肉
お問い合わせ:0463-23-4409
予約不可
住所:神奈川県平塚市紅谷町6-22
交通手段:JR東海道本線平塚駅から徒歩2分
平塚駅から135m
営業時間 11:30~
日曜営業
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

大衆焼肉本店
ジャンル:焼肉、ホルモン
予約・お問い合わせ:0463-21-6363
住所:神奈川県平塚市明石町23-18
交通手段
平塚駅徒歩3分平塚駅から410m
営業時間
17:00〜22:00(L.O21:45頃)
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。