No.114 新潟県西蒲原郡弥彦村の割烹「吉田屋」で一級の米と酒を舌鼓しながら、故郷のない漂流オジサンは郷土というものの良さを噛みしめるのだった。

 万代バスセンターのカレーを食べ(No.109)、新潟の街を少しブラブラして、JR新潟駅に向う。本日のプランは、まずは越後一宮・弥彦神社へ行きご挨拶。神社の気(パワー)を貰い、新潟の旅の安全、また有意義な旅になるようにという重要な願掛けである。
 因みに日本で一番神社の数が多いのが新潟県、その数何と4,467社(全国80,608社)。まあ、日本一の米所なのであるから、五穀豊穣を願うため、神が多く現れるのも肯けるのである(また、新潟は神社や米だけでなく、日本一が満載の県なのである。金属洋食器、石油ストーブの出荷額、チューリップ<切り花>、原油・天然ガス生産量、棚田面積、高校・専修学校の進学率<女子>等)。そんな中で一番格式があるのがこの神社、こりゃ行かなきゃあかんぜよと、JR越後線の吉田行に乗り込んだのである。吉田駅には1時間、そこから弥彦線に乗り換え弥彦駅まで8分と、程よい電車旅である。広大なる田畑を眺めながら、冬になるとこの一帯は深い雪(陰)に覆われ、春(陽)がくるのを、静かにじっと待つ時間がくるのだろうなどと思い、車窓から陰に向かう前の稲刈りの風景を眺める。旅の1時間などあっという間、吉田駅に到着。さて弥彦線に乗り換え、ホームへ移動。とその時、弥彦駅の電車が出るのが1時間後だとういうことに気づく。駅には待合室はあるにはあるのだが…。しょうがない、吉田の街を散策して時間を潰そうと改札を出る。ところがこの街、ゴーストタウンで人気がない。駅前ビルもすべての階、テナントが空室状態。こんなところで1時間、時間を潰すのも考え物だと(旅の1時間などすぐじゃないのか矛盾している奴だ)、タクシーでと考える。しかし、乗り場はあるのだが、タクシーなどの姿形はない。八方塞がり状態で、地方で何度も経験して痛い目にあっているのに、学習をしていない自分を恥じいりながら駅の待合室で佇むこと10分、どこからからかタクシーが現れるではないか、天は我を見捨てていなかったと、すぐにタクシーの元に駆け寄り乗り込んだのであった。しかし、乗ってから、果たして弥彦神社まで、どのくらいの距離があるのか、心配になり、運転手さんに、それとなく尋ねる。20分ほどだというので、ひと安心して、電車からも見えた山並み(弥彦山)に向かって走る車に身を任せたのであった。

 15分ほどすると、どことなく、今までとが外気が変化してくるのを感じると、前方に大きく立派な朱塗りの明神鳥居が見えてくる。大鳥居を潜り、5分程で神社の一の鳥居の前へ、2,000円程の車代なので、駅で時間を潰すより正解だったと車を降りる。風格と威厳が、一宮の証(あかし)か、鳥居を潜ると川があり、石橋を渡ると、まさにここからは聖域、参道をゆっくりと歩きながら境内へ。本日は平日なので人は疎らだが、それが却って、気持ちを落ち着かせ、時間が止まったようで癒される。二の鳥居(こちらは石の鳥居)を潜ると、参道は真っすぐ拝殿、本殿まで続いている。目の前を見ると隋神門の後ろに山(弥彦山)が聳え、この山全体がご神体なのだなと、日本の自然神の原初の姿を垣間見るようである。隋神門の塀が囲む空間に拝殿があり、その後ろに本殿が、またその背景には弥彦山、霊域のかたじけない空間が、我々の魂に静かな振動を与えるのである。拝殿に向かい、一般の神社とは違う「二礼四拍手一礼」で参拝し、旅の無事を祈るのであった。ここには2,400年以上の悠久の歴史を持つ神聖な伝説や不思議な体験が多く伝わっているらしい。確かにむべなるかなである。まさに一宮に相応しい畏みどころで、オジサンは感激、宮を後にしたのであった。社殿の左側から歩いて20分(シャトルバスで3分)で弥彦山に登るロープ―ウェイあるらしいが、山登りは無理とパス。

 さて、腹も減ってきたので、弥彦駅に向かう途中で、店を探しランチでもとゆったりと参道を歩き駅に向う。途中、ポツポツと店はあるが、そんなに多くはない。5分ほど歩くと、昔から老舗風の佇まいの食事処が目の前に現れる。「吉田屋」という名前の割烹居酒屋で、つい身体がお店に引きずられる。時分時ではないので奥に客は一人だったのだが、営業していることを確信してレジの前に立っていると、女将さんらしき人が現れ、どこでも好きなところにどうぞと一言。1階の客席は小上がりのお座敷が4卓、2には大広間のお座敷になっているらしい。せっかくなので小上りの座敷に席を取る。スマホで、この店の情報を調べると、創業は昭和初年で、神社の参拝客だけでなく住人にも長く愛されている店で、現在5代目の主人が引き継いでいるとのこと。こりゃ間違いないなと、まずは生ビールを注文。すぐに出てきて、喉を潤しながらメニューを眺める。刺身や揚げ物、うなぎや稲庭うどん(何故)など豊富な品揃え、ドリンクも新潟の銘酒が一通り揃っている。チョイスに迷うが、やはり、こちらの郷土料理と言われているものを食べなければと、新潟名物の特製わっぱ飯膳(2,800円)と弥彦名物の弥彦むすめイカメンチ(880円)<大判もあるがさすがに大きいので>を、それに、他の新潟の酒よりも高いが、ここは、この土地の地酒・弥彦(935円)一合を頼まなければと注文。しばし待つ。10分ほどでイカメンチが現れる。イカメンチとはミンチ状にしたイカを玉ねぎと合わせてパン粉をつけて揚げたもの。

 2014年に弥彦公園広場で開催された「国際ご当地グルメグランプリ2014 in弥彦」で総合第1位に輝いた一品。草鞋(わらじ)のようなメンチが二つ。一つは半分にカットされている。横にサラダとカットレモンが添えてある。まずは、まんま口の中へ、刻んだイカとゲソ、弥彦村の枝豆ブランド「弥彦むすめ」を砕いて入っているという。確かに甘味が強く、イカの食感が残る海鮮メンチ。ソースも良いが醤油でもよいかもしれない。数分後ワッパ飯も登場。刺身と小鉢、御新香、味噌汁が付き、杉板を曲げて作った「曲げ輪箱(わっぱ)」という丸い器がどーんと目の前に。「わっぱ飯」とはこの容器に飯や地元の食材を詰めて蒸しあげる新潟の郷土料理。ダシ醤油で炊き上げた茶飯の上に、塩鮭、イクラ、錦糸卵、三つ葉、青海苔、すだちが乗っている。ご飯は地元の「伊彌彦米」を使用。弥彦の神様が新潟に稲作を広めたという伝説がある。農薬・化学肥料を50%以上減らして生産した特別栽培米コシヒカリで、香りやツヤも極上だと太鼓判を押されたものらしい。実はオジサン、釜飯、チラシ寿司、豆飯(後程紹介)、混ぜご飯等、ご飯の上に具が散らばったものが大好物で、さすがに、この「わっぱ飯」はオジサンの舌と心を鷲づかみにした一品なのは言うまでもない。清酒・弥彦は、あの新潟駅のぽんしゅ館でも一二を争う人気ブランドで、なかなか入手困難な時があるという知る人ぞ知る銘酒なのである。新潟の酒は皆ソフィストケートされて飲みやすい酒が多いが(そこが通の酒好きには嫌われるのだが)、この酒も癖がなく飲みやすくスーッと喉を通り抜けるが、酒の独特の香りが少し残るのがオツなところのような気がする。今、正月は、オジサン、必ずこの酒を飲むことにしているのである。米も酒も一流で、ゆったりと食事を楽しめる場所なのは間違いないので、弥彦観光の折には、是非ともこの「吉田屋」へ(他を知らないのだからおかしいが…)。

 さて腹いっぱいで、ほろ酔い気分で、明日の佐渡島弾丸1日ツアーのことを考えながら、弥彦の駅に向ったのであった。関係ないが、ここには弥彦競輪場があるのをご存じかな、ここの聖域に競輪場とは、やはり日本の神はふところが深いなー。

割烹お食事 吉田屋(かっぽうおしょくじ よしだや)
ジャンル 日本料理、海鮮、ステーキ

予約・お問い合わせ      
0256-94-2020
予約可

住所      新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦941-2

交通手段             
JR弥彦線 弥彦駅から徒歩10分
弥彦駅から501m

営業時間
10:00~(最終入店14:00頃) 、17:00~(最終入店20:00頃)

定休日  不定休