No.91 愛知県名古屋市新幹線上りホームの「住よし」の<きしめん>は、何と言おうが名古屋旅の最後の〆なのである(名古屋めし食いつくし最終章)

 私の記憶で、きしめんなるものを最初に食べたのはいつだっただろうか。東京ではなく名古屋なのは確かなのだが、ひょっとすると本日紹介する名古屋駅新幹線ホームの「住よし」だったかもしれない。幼少の頃である。
 東京では<ひもかわ>という<きしめん>と同似のうどんがあるのだが、明らかに愛知のきしめんとは違うので、最初にきしめんを食べたのは愛知であろうと思う。最近、東京では、<ひもかわ>も<きしめん>と表示している大胆な店も多くなってきたが、東京の大衆蕎麦屋の<きしめん>はどう考えても<ひもかわ>なのである。これぞ糞味噌一緒の平成、令和時代の見本なのである。
 中学の頃、常滑の伯母さんに、<きしめん>は厚いねと言ったところ、伯母は「バカ言ってるじゃないの、きしめんは薄いでしょ」と首を捻られた。私は<ひもかわ>に比べて愛知の<きしめん>は厚いと言ったつもりだったが、<ひもかわ>など食べたこともない伯母は相変わらずバカな甥っ子だと思いながら、その違いが分かることなくこの世を去ったのが、その事実は悲しいと言えば悲しいのである。

 <ひもかわ>と<きしめん>の違いは、0.05~0.1ミリほど<きしめん>の方が厚く(これ私が規定しただけです)、こんな数字よりも両方を食べ比べてみると、<きしめん>にはどっしりした落ち着きがある一方、<ひもかわ>はひらひらであり、よくぞここまで薄くしたな感があるのが特徴なのである。特に本格派の<きしめん>は、この落ち着き感が際立っているため、腰があると言ってよいほどなのである。さすがに<ひもかわ>の安っぽさに比べ愛知の<きしめん>堂々たる風格を備えている。それ故に、私は<きしめん>がと言いたいところだが、実は関東の<ひもかわ>のほうが好みなのである。あの安っぽいひらひら感が腹にずっしりとこず、さらっとした喉ごしで私には合うのである。
 また御託を並べてしまったが、今回はそれぞれ特徴が違う<きしめん>屋を3軒ほど巡ったので、それをふまえながら、現在の名古屋<きしめん>状況をお伝えしたい。
 1軒目は栄町のメルサ地下街を歩いていて、偶々見つけた「四代目 一八」という創業明治38年の老舗のうどん屋さん。本店は中区の正木あり、ここ名古屋メルサ御殿を含め4店舗(中京競馬にもある)あり、きしめん、味噌煮込み、ひつまぶし等、名古屋めしならなんでもごじゃれのお店。名古屋の地元民が日常入る典型的な飯屋さんと言えるかもしれない。チェーン店風の入り安い店構えで、店内清潔感が漂うのだが、外装のコンセプトが金(キン)で、ただいま四代目という老舗の威厳を表したいのは分かるが、いかにも無粋な名古屋感だが店内は広々としていている。土曜の時分時14時頃だが、かなりの客。狩野派を思わせるような金ピカ雄大な絵が飾ってある前のテーブルに着席。120年も続く老舗なのだから、そんなに間違いはないのだろうと、ファミリーレストランのような大きなメーニュー眺める。かなりの品ぞろえで、セットメニューも豊富である。最近ご無沙汰の味噌煮込みうどんにもそそられるが、ここはやはり<きしめん>だろうと、お得なほろ酔いせットを注文(生ビール1杯に天ぷら<エビ天、いか天、玉ねぎ天、手羽元、えだまめ>、きしめん1杯付-1,280円)を注文。汁はたまり醤油ベースの赤と白醤油ベースの白から選べるのだが赤に。しばし、絢爛なメーニューに見入っていると、早々に品が着丼。オーッとこれまた豪華、また<きしめん>の丼もこれまた金色でジャンボである。名古屋の<きしめん>の丼ぶりは、どこもビッグだが、ここもジャンボサイズで<きしめん>の量も結構ある。この値段にしてはコスパが良いのではないか。さて、お味はと<きしめん>を観察する。おーっと厚い、こんな形容をするは私だけだろうが、まさに名古屋の本格きしめん、そのもの。名古屋のきしめんを食べるならこれなのである(私は<ひもかわ>が好きだけどねーしつこい)。つゆ(赤)は関東風で醤油が決め手の締まったもの(やはり関東人はこれなのである-うれしい)。天ぷらは、高級店のように衣が薄いとはいかないが、蕎麦うどんを食べるのにはこのくらいがベストで悪くない。やはり120年の歴史を誇るだけあって間違いはございませんでした。ただ関西風の汁が好みの方は白で食べて下さい(ちゃんと二つ用意する所が名古屋なのである)。

 次ぎはNo.88で先述した熱田神宮内に店を構える宮きしめん。熱田神宮の鳥居を潜り、本宮への参道を歩くと左に大きな休憩所がある、古(いにしえ)だと参道のお団子屋さんなのだろうが、現在はすべてが横文字風になり、きしめんとソフトクリーム等を売っているフードコートのような場所。この宮うどんなる店は、名古屋に8店舗を構える<きしめん>店。当たりである。多くは地方フードコートにも店を構えている。参拝するまえに小腹がすいたので、我慢できなくなり、つい食べてしたのが、こちらのざるきしめん(800円)。さすが熱田神宮の休憩所は人だかりで宮きしめんも行列している状態。10分ほど並び商品をゲットし、開いてるテーブルを探し着席。何とも量が少なく2,3分ほどで完食。お味は如何と問われれば、<きしめん>は<ひもかわ>と<本格派>の中間ぐらいの厚さだが、さすがはフードコート、だからどうしたとも言えないほど言葉もでないのである。一見さん相手なのだから熱田神宮と問題を起こさなければ続いていけるのだろうな、などと考えてしまったのであった。でも聖域の中のお店なのである。有難や、ありがたやでごじゃる。
 殿(しんがり)に構えしは、私の名古屋の<きしめん>なのである、後にも先にも「住よし」なのである。

 名古屋に来て食べなかったことないというほど欠かせないのがここなのである。これはオジサンだけでなく、こういう方は全国にかなりいるのではないだろうかと推測できるのである。本日も、(No.90)「ひつまぶし」を食べたばかりなのにダメなのである。上りの新幹線を待ちながらも、「住よし」が目に入ると脳が反応してしまう。「チケットを買え、スルスルと啜れ」と…。気づいた時には、店のチケット販売所の前に立っている自分がいたのであった。TPOとはスゴイものがある。本日の夏の名古屋は当たり前だが暑いので、温かいのはダメだろうと、また腹が一杯なので汁きしめんは止めようと、<冷やしキツネー540円>のボタンを押す。入店しカウンターにチケットを置き、ボーゼンとしていると直ぐに品が目の前に。七味を入れ<きしめん>を啜る。これは<ひもかわ>だろうなと心の中で呟くー実は中間あたり。汁は可もなく不可もなし、どこにでもある化調が効いた立ち食い蕎麦うどんの汁(これで良いのである)。きっとこの出汁に化調を効かせてなかったら食べられないだろう。でも味音痴(頭で食事をしているー旨味というのが分からない)の無化調主義者がいるから世の中不思議なのである(こういう連中は大丈夫なのかなと思ってしまう)。この「住よし」新幹線のホームだけにあると思っていたが、在来線を含め名古屋駅の全ホームにあるらしい。JR東海さん、名古屋駅がある限り、この「住よし」を無くさないで欲しいものである。

四代目一八 メルサ栄御殿

ジャンル うどん、カフェ、ケーキ

お問い合わせ      
052-990-4374
予約不可

住所      
愛知県名古屋市中区栄3-4-5 メルサ栄 B1F

交通手段             
栄駅(名古屋)から242m

営業時間             
11:00 – 21:30
L.O. 21:00

宮きしめん 神宮店

ジャンル              麺類、揚げ物、郷土料理

お問い合わせ      
052-682-6340
予約不可

住所      
愛知県名古屋市熱田区神宮一丁目1番1号 熱田神宮境内

 交通手段           
熱田神宮内。
*名鉄神宮前駅から徒歩約5分。
*JR熱田駅から徒歩約10分。
*地下鉄名城線神宮西②番出口から

徒歩約8分(熱田神宮西門利用)。
神宮前駅から379m

営業時間             
09:00 – 17:00
L.O. 16:30
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

きしめん 住よし JR名古屋駅 新幹線上りホーム店

ジャンル              麺類、郷土料理、天ぷら

お問い合わせ      
052-586-0624
予約不可

住所      
愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 JR名古屋駅 新幹線14・15番線ホーム(4号車付近)

交通手段             
JR名古屋駅
東海道新幹線 上り(静岡・東京方面 14番・15番線)ホーム
4号車停車位置付近(新大阪方) に立地
※上り14番・15番線には14号車停車位置付近(東京方)にも、『きしめん 住よし JR名古屋駅 新幹線上り2号店(旧・グル麺)』があり
名古屋駅から121m

営業時間             
6:30~21:40(L.O.21:30)
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。