No.9 新潟県妙高市の「かんずり」

 標高2,452メートルの妙高山の麓に広がる新潟県妙高市では、昔から料理にかかせない伝統調味料がある。その名は「かんずり」。漢字で「寒造里」(村で寒い時に造るという意味か)、「寒づくり」という言葉から来たらしい。
 「かんずり」は妙高市、上越地域一帯では、各農家の家庭でつくられたもので、豪雪地帯の寒い冬を越すためにかかせない調味料だったという。それは唐辛子を鉢ですり潰して塩を混ぜ、味噌を入れた単純なもので、寒さしのぎで舐めたり、鍋物に入れたり、家庭様々その用途はバリエーションにとんだもで、その味も家庭によって違うものだったという。
 しかし戦後、日本が貧しくなると、甘いものが主流になり、辛いものなど見向きもしない風潮が続き、地域一帯でも「かんずり」は忘れかけ、伝統の調味料は消滅の危機を迎えるようになったらしい。
 しかし、昭和35(1960)年に有限会社かんずりの社長東条邦昭さんと父親の邦次さんが、「かんずり」の消滅危機を救うべく立ち上がり、商品化販売することになる。
 当初は「こんな辛いもの」売れる訳ないと、地域住民にも陰口をたたかれ、鳴かず飛ばずの状況だったが徐々に研究と努力のかいがあって商品が浸透していくようになり、今ではこの地域では一家にひと瓶、必ず置いてあるという。まさにソウルフード復活に成功したのである。
 有限会社かんずりの「かんずり」は塩漬けの唐辛子を雪の上にさらしてアクを抜き、柚子や糀などを発酵させたもので完成まで3年かかるのだという。昔の家庭で作られたものよりは数段進化したものだが、その伝統は熱く受け継がれているからこそ、地域住民が今一度「かんずり」に目を向けるようになったのだろうと思う。それではネット販売で「かんずり」(六年仕込み)をひと瓶注文したので、味はどんなものなのかご報告したい。
 瓶の蓋を開け、スプーンで皿に出し眺める。見た目は韓国の調味料ヤン二ョジャンに似ているが、糀の粒が表面に浮かび色が少し薄い。ひと舐めすると、あー韓国のよくある唐辛子調味料とは違い味噌が入ってないので甘くなく塩辛さが目立つ。発酵食品の独得の臭みがあり、これがダメな人はもう口にするのは無理かもしれない。舐めて数分、ジワーっと身体が温かくなる。これは、今までの旨辛調味料とは違う感覚である。最初はとっつきにくいが、慣れてくると癖になるような、大人の味である。ラーメンに少し入れたり、焼肉や鍋のタレ、野菜炒め、焼き鳥に付けたりするのもいいような(No.5で紹介した東松山市のやきとりのタレと食べ比べも面白い)。万能調味料なのは確かである。
 しかし、何なのだろう本当に身体がポカポカになる。私は辛いものが大好きで、中本(蒙古タンメン)の北極という激辛ラーメンも平気で食べられる人間だが、こんなに身体が温かくになることはない。唐辛子に発酵させた食物を混ぜると、こんなことになるのか驚きの体験である。まずはぜひお試しあれ。

新潟名産かんずり3年熟成品(1本70g)3本セット

新品価格
¥1,955から
(2021/5/20 22:03時点)

かんずり かんずり酒盗 80g×6個

新品価格
¥3,396から
(2021/5/20 22:01時点)

製造元:有限会社かんずり
住所:新潟県妙高市西条438−1
電話:0255-72-3813

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA