No.70 大阪食い倒れ紀行(難波)-「大黒」のかやくご飯①(大阪上陸編5)

 私と大阪の初めての関わりは、大阪万博と『細腕繫盛記※1』『ぼてじゃこ物語※2』、そして『どてらい男』(関西放送のドラマ・No.66参照)の一連の花登筺脚本シリーズのドラマのように思う。前者は日本人口の六割ほどが万博に訪れたという先にも後にも、これ以上ない成功イベント。後者は日本中に大阪<商い>とは何たるものかを知らしめた、よみうりテレビ放映の大阪商人のド根性ドラマ。当時10歳であった私は、2回も万博を訪れ、その記憶がたびたび浮かぶのであるが、何だか現在から思うと国が前向きな時代だったなと感じるのは私だけなのだろうか。花登筺のドラマは、勉強嫌いで、奥手で鈍な性格な子供のくせに、何故か大人が観るドラマが好きで、この一連のシリーズをほんとうに分かっていたのかは疑問だが、夢中になって観ていた記憶がある。特に『細腕繫盛記』の加代(新珠美千代※3)の祖母ゆう(浪花千栄子※4)や『ぼてじゃこ物語』の千代(ミヤコ蝶々※5)の関西弁に異様な魅力を感じたことが思いだされる。果たして、現在、大阪の若者たちの何人がこのドラマのことを知っていることやら、ひょっとすると全滅かもしれない。東京の若者が、すでに『男はつらいよ』の寅さん(渥美清)を知らないように…。
 またまた、マクラが長くなってしまったが、大阪上陸2日目の朝を快晴で迎え、昨日の疲れも何のその、旅の前に予約しておいた大阪水上バスアクアライナー(大阪城港から淀屋橋往復巡り)に乗るために、朝飯を食わずにホテルを出たのであった。大阪城の外堀になっている寝屋川を下り、天満橋の近くで大川に合流し、淀屋橋まで行き、また城港に戻ってくる40分のコースで、旅にはこういうクッションも必要だろうと乗り込んだが、中之島とはどんなところかも知ることもでき(大阪市役所は島の中にあるのですね)、なかなかオツでげした。

 さて、朝の船上散歩も終わり、本日は1日じゅう大阪一の繁華街・難波をひやかすというプラン。地下鉄に乗り難波まで足を運ぶ。朝飯抜きなので、腹ペコ青虫なのだが、さすがに粉もんは勘弁、和食がイイなと、その名も「大黒」、大阪では超有名なかやくご飯の店をチョイス。この店、キー坊(西川きよし)がよく目を丸くして、テレビで店名を叫んでいた店で、東京人の私でも名前だけは知っていた店なのだが、本日、そのかやくごはんがはじめて食べられるとあって胸弾むのである。地下鉄を出て地図を頼りに目的地を探す。土曜日の昼なので、難波もまだ人通りが少なく、カラスの鳴き声が響くばかり、数分で「大黒」前へ。11時半開店で、12時という時分時に到着、店の前には4人ほどの列。さすがに老舗(明治35年創業)の人気店である。店舗も年季が入った木造の瀟洒な建物で、客層も中年以上で、THE大人の店。待つこと15分で入店。テーブル席が二つと奥に小上がりの座敷席?とカウンター席があるばかりの小体の店内。左側のテーブル席に案内される。老舗なのに、粋がったところがなく、何とも自然体の店でグッドな空気感。テーブルの上にある横長のメニューを眺め、まずはお決まりの瓶ビール(650円中瓶)を注文。ツマミにきんぴら(400円)。混んでいるので時間がかかりそうなので、一度に注文しようと思うが、優柔不断で中々決まらない。悩んだ末に、かやくご飯は大(450円)と小(400円)があるが、大を注文したかったが、これからのことを考えて、ガマンして小にする。味噌汁は赤みそになめこ(300円)、連れは白みそに玉子入れ(300円)。メインのおかずは、しまあじ焼き(600円)で、連れは生しゃけ焼き(600円)を注文、しばし待つ。追加のビールを注文、やはりビールはアサヒビールである。何とまあー大阪はアサヒビールが出てくることよ。きんぴらは、ほどよい甘さで品がある。待つこと20分、続々と品が到着。かやくご飯は、ほんのりと海苔がかけてあり、お揚げとコンニャクが混ざっていて、見た目も良い、まずは一口頬張る。薄味だが、微妙に濃くがあり、結構な塩梅である。これは珠玉の一品である。ひょっとするとこれぞ大阪の味なのかもしれない。味噌汁も出汁が効いておりグッド。メインのおかずも上等である。老舗倒れではなく、これぞ伝統の味といっても間違いない完璧な品揃え、参りましたと頭を下げて箸をおいたのであった。この店自宅の近くにあったら、週2は訪れていることだろう。やっとここへ来て、食い倒れ大阪に恥じぬ食に出会え、昨日の疲れも何のその、次なる目的地千日前に向かったのである。小さなことからコツコツと、キー坊(失礼)ありがとう。

※1細腕繫盛記
1970年1月8日から1971年4月1日まで、よみうりテレビで製作され、日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ。毎週木曜日の21時30分から22時26分に放送された。近畿地区では最高視聴率38.0%を記録した。好評だったため続編が作られ、1972年1月6日 – 1973年3月29日に第2シリーズ、1973年8月23日 – 1974年2月14日に「新・細うで繁盛記」が放送された。「銭の花の色は清らかに白い。だが蕾は血がにじんだように赤く、その香りは汗の匂いがする」のオープニングのナレーションが印象的だった。
※2ぼてじゃこ物語
1971年4月8日から12月30日まで放送された日本テレビ系(よみうりテレビ制作)で放送されたテレビドラマ。『細うで繁盛記(第1部)』の後番組。オープニングは「女とは哀しい魚。愛という餌を求めて、ひたすらに清い流れをさかのぼる。針の痛さも知らないで」という主人公・雪子役の三田佳子のナレーションだった。後番組は『細うで繁盛記(第2部)』。
※3新珠美千代(あらたま・みちよ)
1930年1月15日 – 2001年3月17日)は、奈良県奈良市出身の日本の女優、元・宝塚歌劇団雪組主演娘役の宝塚歌劇団卒業生。代表作品は映画『洲崎パラダイス赤信号』『女の中にいる他人』『人間の條件』他。
※4浪花千栄子(なにわ・ちえこ)
1907年(明治40年)11月19日 – 1973年(昭和48年)12月22日)は、大阪府南河内出身の日本の女優。昭和初期から中期(1920年代後半〜1970年代前半)に活動した。ボンカレーやオロナイン軟膏のCM出演で全国区になる。
*5ミヤコ蝶々(みやこ・ちょうちょう)
1920年7月6日 – 2000年10月12日)は、日本の女優、漫才師、コメディエンヌ。東京都中央区日本橋小伝馬町生まれ、兵庫県神戸市出身。長らく上方漫才・喜劇界をリードし、関西を代表するコメディエンヌであった。

かやく御飯 大黒
住所:大阪府大阪市中央区道頓堀2丁目2−7
営業時間
火曜日~土曜日:11時30分~15時00分
定休日:月曜日・日曜日

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