No.36 埼玉県所沢市狭山ヶ丘の銘菓「ぽんぽこおやじ」は、あの「ぽんぽこ(タヌキ)」の末裔だった。

 20年前、仕事で福岡県に行った時、新幹線駅構内でお土産を買おうと品定めをしていると、明太子の「かねふく」と肩を並べるように銘菓「ひよ子」が置いてあるのに驚いたことがあった。「かねふく」は分かる。しかし、何故ここ福岡に東京銘菓「ひよ子」が偉そう―に天下の「かねふく」と一緒にいるのかと疑問に思い、見送りに来てくれた友人に、「<ひよ子>がなぜここにたくさんあるのか」と尋ねると、友人曰く「<ひよ子>は福岡のお菓子だよ」としらっと答えたのであった。その後、私は上りの新幹線車中で、そのことが気になり東京まで落ち着くことができず、頭の中は「?」で一杯であったのである(現在のようなスマホがなかった)。会社でネット調べてみると、そもそも「ひよ子」は福岡市の株式会社ひよ子が製造しているお菓子で、東京進出とともに「東京銘菓」と名乗るようになったということ、「紛らわしいことするんじゃない」と私は怒りを通りこして、呆れてしまったことを思い出す。

東京 ぽんぽこ本舗


 東京人にとって「ひよ子」は断然東京銘菓なのである(今でもそう思っている人がいるだろう)。故に、ある時代まで(昭和までかな)地方に行く時は、「ナボナ」(自由が丘亀谷万年堂)かこの「ひよ子」を堂々と持っていくのが通例だったのである(今は「東京ばな奈」かな)。もし、これを福岡に持っていってしまった人はどうなるのか…(実は恥をかいた人はたくさんいるのである)。そういった苦情は会社に多くあるのではないだろうか。言ってみれば、これは東京人に対して冒涜を通り越して詐欺と言ってもいいのではないだろうか。これが福岡銘菓で東京に置かれていたら、これだけのシェアはなかったであろう。即刻、東京銘菓を福岡銘菓に切り替えろと言いたいのは、私だけではないだろう(しかし、東京人は優しいからな)。
 本日は怒りで幕を開けたが、今回はソウルフードの話と言うよりか、昔から気にはなっていたことが少し分かってきたので、ここに記させていただければと思い、まずはそれに関連した銘菓「ひよこ」の話から始めさせていただいた。
 私にとって「ひよ子」を思い描くと、同時にどうしても「ぽんぽこたぬき」がセットになって現れ出てくるのである。東京に長年住んでいる方はロバ製菓の「ぽんぽこ(タヌキ)」をご存じ方は多いだろうと思う。「1951創業のロバ製菓は。1963年、ひよ子にヒントを得た(味はほとんど同じ―著者)進物用菓子『名菓 ぽんぽこ(タヌキ)』があたり急成長。1970年代から90年代前半にかけて、天地総子の歌う明るい歌に合わせて2頭身のたぬきが踊るスポットCMを大量に流して知名度を上げ、首都圏の駅ビルや百貨店などを中心に販売網を展開し、最盛期の昭和50年代には国鉄上野駅の売店だけで月4,000万円を売り上げ、500名を超す従業員がいたそうだ」(ウィキペディアより)。このように、ある時代、確かに「ひよ子」と「ぽんぽこ」はライバル同士で競いあっていた時があったのである。子供の時、「お前はどっちが好き」「断然たぬき(ぽんぽこ)」「私はひよ子の方が可愛いいいわ」等の会話が飛び交っていたのを思い出すのである。そう言えば、私の自宅の側(そば)にもロバ製菓の工場があった。しかし、このライバル同士の熾烈な戦いも終焉を迎えるのである。それは「ぽんぽこ(タヌキ)」のロバ製菓がアズキ相場や不動産投資の失敗で、1995手形不渡りを出して倒産してしまう(アズキ相場とは「ぽんぽこ(たぬき)」も浮かなれないだろう)という結末によってであった。私もその時のことを少し覚えている(というか思い出したのである)。
 それからは、当然のごとく「ひよ子」の一人勝ちで、東京銘菓の定着もそうして築きあげられて行ったのだろう。あれから26年、「ぽんぽこ(タヌキ)」もすでに絶滅したと思っていたが、どっこい「ぽんぽこ(タヌキ)」の末裔が生存していることを聞いた私は早速調べてみると確かに生存していたのである。ロバ製菓の元専務さんが、名前も「ぽんぽこおやじ」に変えて販売していたのである。亡くなった「ぽんぽこ(タヌキ)」も草場の陰で泣いて喜んでいるのではないだろうか。そこで、これは極私的な希望だが株式会社「ひよ子」さんには東京銘菓を福岡銘菓に、そして東京から少し撤退してもらい、替わりに東京銘菓「ぽんぽこおやじ」にシェアを譲り、昔のようにライバル同士の戦いを繰り広げてもらいたいと思うのである。会社の大きさは違うとはいえ一緒にイベントなどを開催し、お互いの市場を盛り上げるのはどうであろうか。それぐらいの広い心を持っていただければ、今まで騙されていた、いや騙され続けている我々東京人も溜飲を下げるのであるが、いかがでしょうか(そんなの無理か)。「ぽんぽこおやじ」頑張れ!

株式会社東京ぽんぽこ本舗
本社・工場
埼玉県所沢市狭山ヶ丘1-3005-29
電話:04-2947-0008
FAX:04-2947-0007
販売店
羽田空港:第1ターミナル内 「BLUE SKY」
成田空港:AKIHABARA 南WG店
東京駅:東京駅一番街 「東京みやげセンター」
圏央道:狭山PA(外回り)
常磐自動車道:Pasar《 パサール 》守谷(下り線)「旬撰倶楽部」谷田部東PA(下り線)
東北自動車道:Pasar《 パサール 》羽生(下り線)「旬撰倶楽部」