関西のイメージワードとして「コテコテ」があるが、他に「アッサリ」というワードも浸透しているのではないだろうか。このワード、両極端だが、中間色の関東イメージの対抗としては、ピッタリとハマつているようで、なかなか的を得ているように思うのだがいかがだろうか。
関西人、とにかくボヤケ、ハッキリしないものが嫌いなのではと、言ってしまうと、また偏見だと言われそうだが(関西人も様々なのだから)、まあ、人間は鋳型にはめて分かりやすくすると安心できるという特徴があるので、お許し下さい。
そこで今回はソウルフル即席麵第7弾として、関西アッサリの代表選手のような、イトメンの「チャンポンめん」をご紹介したい。
この「チャンポンめん」、東方(ひがしかた)の人間には、馴染みが薄いかもしれないが、というかそもそも存在自体をご存じないという方がほとんどのような気がする。私も知らなった。しかし、関西では知らない人がいないというほどポピュラーな即席麵で、2023年に販売60年を迎え、元祖即席麵「日清のチキンラーメン」の次に古い即席麵なのだそうだ。
これだけ歴史がある即席麵なのに、何故、東方の人間にこれだけ存在が知られてないのか、このイトメンという会社が、はじめからメジャー、全国区を目指そうという意志がなかったからのように思う(オリエンタルカレー<No.35>やうまかっちゃん<No.38>とはその辺が違うような)。少しでもその意志があり、行動していれば、こんなに東方の人間に知られてないということはありえないだろう。そもそも、はじめから東京など相手にしてないのである。というか関西だけでも十分に商売が成立したということである。吉本の関西特化芸人のように、良く言えば関西人だけを相手に笑いを提供しているようなものである。
そんな関西<魂>のような即席麵をちょっと食べてみようではないかと、通販で五つばかり注文した。早速すぐに五袋入りパックが到着。
関西人特有の饒舌さで、since1963年、2番じゃダメですか?、推しめんになりたい、とかのセリフが散りばめられ、黄色地に赤の派手なデザインがアホぽっくて結構なのである。
さて湯を沸かし調理に取り掛かる。麵は普通によくある油麵に粉末スープと、これがこのラーメンの肝らしいのだが、エビとシイタケの干したものが申し訳程度に付いている。まずはそのまんまで試食。これ以上アッサリしたスープがあるだろうかという、塩味のラーメン。当たり前だがリンガーハットや本場長崎ちゃんぽんのスープを想像している人はいらっしゃらないと思うが、薄味の塩ラーメンと言ったほうが正解である。野菜を加え、ラー油、ニンニク等で味変させてこその品のような、そして最後に残ったスープにお酢を入れて飲む(私はそうした)、良く言えば上善水の如し、何にでも染まる、自己主張のない自由度の高いラーメンと、悪く言えば、即席麵だけでは食べられるものではないは言い過ぎかもしれないが…。何だか東方で販売しない理由も言わずもがななのである。何でもアッサリして、白いと、出汁が効いていると思っているアホげな関西人と多く出会っているので、ひょっとすると、このスープも出汁がいいね、などと言いそうなのが怖いのである。
似たような即席麵に昔、タンメンタンメン「長崎タンメン」(サンヨー食品)があったが、この「チャンポンめん」食べているとそれが懐かしく思いだされてくる。一度10年前ぐらいに復活したが、その後またマーケットから姿を消してしまった。しかし、この「チャンポンめん」関西人の究極のアッサリ感の象徴なのは確かのようだ。それでは究極のコテコテ感の象徴は何だろうか、近く大阪へ行くのでそれを探ってきたいと思うのである。
イトメン株式会社
住所:兵庫県たつの市揖西町小神841番地
電話:0791-63-1361(代表)
公式HP:https://www.itomen.com/