気が付けば、この投稿も100回目。駄文(チリ)も積もれば資料(ヤマ)となる。ソウルフードという簡単には消えないものを対象にすれば、駄文もお零れで長く生き残るなどという邪(よこしま)な気持ちで投稿をはじめたのだが、最近は習慣化してきて何だかやめられなくなってきた。そして、現在では惰性、マンネリでもいいや、書けなくなるまで続けるかという気持ちなのである。まあまずは200回目指して、食べ歩くかなということで、今回から何回かに渡り、100投稿記念十郎大好物Nowというテーマで、<いま・ここで>のオジサンの好物を番外としてご紹介したい。故に好評の神戸編はまだ雨が降っているので、このシリーズが終わり次第再開したいと、急遽オジサン、神戸から戻ってまいりました(そんなわけないだろ)。
ということで、第1回目は自由が丘の中華「梅華」。毎年12月末に恩師のお墓参りのために東横線の綱島にある長福寺さんにお伺いしているのだが、その帰りに必ず寄るのがこの「梅華」である。自由が丘といえば、昔からハイソ(セレブ)とナボナ(亀屋萬年堂)の街なのだが、下町ローワークラスの私なのに何故かこの街とは昔から縁があり、よく飲んだものである。お高く留まっていると、毛嫌いする人も多くいる街であるが、実は、渋谷や中目黒と違って、頭がウニの若いねーちゃんや田舎者の山師風あんちゃん(何故か携帯で大きな声で大きな額の取引をしている)が少なくて良いなと思っている。そんな街で昭和29(1954)年から営業しているのがこの「梅華」で、老舗中の老舗の中華料理屋である。この街は何故か瀟洒な高級中華料理店が多いのだが、「梅華」は店構えからして昭和の高級中華店風である。一瞬入るのに身構えてしまうかもしれない。しかし、ディスプレイに並べられている料理の値段を見ると、場末の町中華の値段に毛が生えた程度なのである。入店するといつもキャッシャーの前で出迎えてくれる親切なオーナー女将(梅華ママ)の誘導で席に。白い清潔なテーブルクロスが掛った10席の円卓と奥に壁際に2人、4人掛けテーブルが7席ほどか?ある。二階もあるようだが通されたことがない。かなり大箱ではあることは確かである。何故か毎回同じ席(厨房近く)のような気がするがそんなことはどうでもよい。席に座ると、注文するものは決まっているのだが、些細な変化を見逃さんと、とりあえずは菜譜(メニュー)を眺める。店内は大繁盛、よくスムーズに入店できたものだと感心する(ひょっとすると恩師のお導きか)。女将の息子さんか?テキパキと注文を捌いている。店内を見渡すと、いつもながら客層に品がある。年寄りも枯れてはいるが貧乏臭くなく預貯金も多そうである。日本の多くの年寄りように年金だけでは暮らせず死ぬまで働かなければならないなどという人はいないのだろうなと、ビールを飲みながら人の懐具合を推察しているオジサンがいたのである。情けないぞと恩師の声が耳元に…。
ここのメニューは豊富で、人気は三鮮麵(肉と野菜と海鮮が醤油餡に絡まる―うまに)とエビそばだが、何を注文しても間違いはないと思う。一度そば(素ラーメン)を食べたいと思うのだが、まだ到達できずにいる。面白いのはここの麵はラーメン丼ぶりではなく、底が浅い飯丼ぶりに入ってくるのだが、スープがこぼれそうで、その危うさがなんとも言えず滑稽で良いのである。近所に住んでいれば、秋葉原の民華(伝説の町中華・2015年12月火事で閉店)の時のように全メニュー制覇をしたいものである…。少し時間がかかったが餃子が着。ここは8個と数が多いのだが、まあ結構なお味である。ここで、メインの十郎の大好物肉糸烩飯(1,300円)とついでにウーロンハイ(600円)を注文。烩飯(かんはん)の烩(かん)は見慣れない漢字だが餡がかかったという意味らしい、ひとつ勉強になった。オジサン、昔から青椒肉絲(チンジャオルース)が好きで、中華屋では他のものも食べたいのに、何故か最後には青椒肉絲に落ち着いてしまうのである。ない頭で考えたのだが、うま煮、酢豚、かに玉やレバニラなどは店によって差異がありすぎ失敗することが多々あるが、この青椒肉絲はそんなにどこも間違いがないことが多いからか、などと分析したのである(どうでもいいや)。少々待つこと15分、肉糸烩飯が着丼。餡の艶がすばらしい。まずは細切り肉を口に、良い塩梅。餡の具合も緩くもなく硬くもなくバランスがとれている。ここは旨味調味料を使用していると思うが、この値段なら入れてくれなければダメなである。ヌケ味厳禁である。いくらでも食べられそうな気がしてくる。タケノコもピーマンも玉ネギもほどよく芯が残ってシャキシャキに炒められている。青椒肉絲ってなんでこんなに旨いのか、オジサン好きなんだなーと。何度も再認識するバカオヤジがいるのである。大満足で今度はウーロンハイで飯(メシ)を流す。これぞプロの味、ここは私の中では上位ランクに入る青椒肉絲なのは間違いないと納得して、また来年の来店を楽しみに店を出たのであった。腹も満たされ、周囲を見渡しながらトボトボと亀歩きで駅へ。おー小割烹「金田」(ここの客層も民度が高い)が、そしてうなぎの「ほさかや」も健在である。温かくなったら久しぶりに伺ってみるかと、自由が丘の夕暮れの空を見上げたのであった。一年(2024年)も後4日で終幕である。
梅華(バイカ)
ジャンル 中華料理、ラーメン
お問い合わせ
03-3717-6930
予約不可
住所
東京都目黒区自由が丘1-12-2
交通手段
東急東横線自由が丘駅南口下車。
改札を出て、マリクレール通りを左手に進み、次の交叉路を左折して、
東急大井町線の踏切を渡り、牛丼松屋のところを左に曲がったところにあります。
自由が丘駅から139m
営業時間
月・水・木・金・土・日
11:00 – 14:00
17:00 – 21:30
火曜定休日 営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。