これぞ、まさにソウルフードの真髄といわしめるもの。
いつも満員である。町中華なのだが、ただの町中華とは違うのである。何が違うのか、お客さんに迷いがないのである。メニューが少ないということもあるが、そればかりではない、ほとんどが一見さんではなく、ここの味を十分知り尽くしている黒帯ばかりの客が多いからか。でも、だからと言って一見さんの入りにくさはない。大井町に長く住んでいて、この店を知らない人間がいたら病人?と言っても過言ではないのではないだろうか(周囲には数えきれないほどの中華屋があるのに)。私は大井町の住人(鶯谷の住人)ではないが、これまでに5回ここに訪れている。味に中毒性があるのである。ソウルフードになる一番の決め手は中毒性のありなしかもしれない。
ここの中華そばは、一般的な大陸系中華そばではなく、数少ない台湾風中華そばである。
他に台湾風中華そばの有名店は渋谷の円山町に「喜楽」がある。台湾風はスープに焦がしネギ油を浮かべ、多めのモヤシが載せてあるのが特徴である。麺は中太の平打ち麺である。私はビールに餃子を食べてから、中華そばかモヤシそばのどちらかを注文するのが定番で、ここのあんかけモヤシそばも絶品で、コショーと辣油を多めに入れ、啜ると、「うえめー」という呟きが自然に出てきてしまうのである。こちらもズ~と血液に沁み続け、記憶に残り続ける一品なのではないか。子供の頃から、これを食べ続けていると一生憑いて回る味のような、まさに「魂」の一杯である。
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