さて、前回(No.84)「永寿亭」のカツ丼を食べ終わり、午後の予定まで、腹ならしをかねて高崎の旧市街をプラプラする。中央銀座アーケードは人気がまったくなく、昆虫食という販売機がなぜかポツリと置いてある(不思議だ)。オリタのおばちゃん焼きまんじゅう(高崎で一番旨いまんじゅうだと噂)を食べようとお店へ行くが、おばちゃんはいるのだが、お客なのか若い女性客と話し込み、本日は閉店すると食べるこができず、商売っ気がなく残念。城址公園を観て、老舗スズラン百貨店の地下の三栄ジューススタンドで名物?メロンジュース(350円)を飲みながらしばし休憩。街には人がいないが、ここは老齢の方々で大賑わい。しばし、生態観察。しかし、スパゲティの街だと聞いたがイタリアンの店を見かけないのはどうしてなのだろうと首を傾げながら高崎駅に戻る。
午後はこの地区では一番大きい(巨大)と言われているスパ(スパゲティではない)京ヶ島天然温泉(湯都里)で寛いでから、ディナーは目的の高崎スパ(こちらはスパゲティ)を食べることになっているのだが、地方でバス移動することの難儀さを真っ向から味わってしまうとは、想像だにしていなかったバカ都会人がいたのであった。東口から1時間に1本のコミュニテーバスに乗り、スパに到着するのに40分は掛かっただろうか、もし、バスにでも乗り遅れたら、1日の予定が脆くも簡単に崩れてしまうのだという恐怖を味わいながら、帰りのバスの時間を確かめ、スパに入るのだった。ここの温泉は飛鳥時代からこの京ヶ島周辺には集落があり、その場所から一本の良質な温泉が出たため、その歴史とロマンにちなみ「群馬 高崎 京ヶ島天然温泉」と名づけられたとのこと(HPより)。さすがにデカイスパで、サウナはシアターサウナと謳われ、大学の階段教室のような空間に大スクリーンがあり、映画を鑑賞しながら入るというオシャレなもの。しかし、自動ロウリィが20分ごとにセットされているのだが、このロウリィが熱いこと半端なく、サウラーのオジサンも、さすがに2分ももたず早々と退散するのであった。風呂場も天上が広く開放的で、露天も大きくしつられてある。さすがに巨大と謳われるだけある。ゆっくりと壁にかかっている大きな上毛かるた*1の数々を眺めながら「ゴクラ極楽」と日常の心の垢を落とすのであった。お食事処「ゆとり庵」で生ビールを飲み、その後のディナーに備え万全な態勢ができ、目的の高崎イタリアンの老舗「シャンゴ問屋町本店」(ここのシャンゴ風スパがソウルフードと言われる)へと思っていたのだが、ここへの交通を考えると雲行きが怪しくなってきてしまったのであった。タクシーでも使えば、すぐなのであるが、そもそも田舎のタクシーの配車が都会人にはメンドクサク、このままコミニュティーバスで高崎問屋町駅まで行くと、駅から15分(私の足では30分)ほど歩かなければならず、狭窄症の身では辛い。
ということで、高崎駅まで戻り、駅周辺のイタリアンを探すことにする。何やら「はらっぱ」という茫洋としたネーミングの店が、「シャンゴ」を追い越し、現在では一番人気の店だとういうこと、ここは赤唐辛子とニンニクが大量に入ったトマトスープスパが名物で、スープスパが好きなオジサンには打ってつけの店。それならば、と向かったのであった。現在では高崎イタリアンは先述シャンゴやデルムンド、ボンジョルノ、ラビッシュ、エ・ヴィータなど何だかオシャレな有名店がひしめき合っているのだが、この「はらっぱ」は「ラーメンのように気軽にスパゲティが食べられる」というコンセプトのもと高崎駅周辺に3店舗と問屋町(シャンゴへの対抗か)で営業している。このコンセプトはなかなかオツであると「はらっぱ」駅ビルモントレー店へと向かったのである。というか、駅ビルなので、帰るのが楽だし、スパ後の体の緩さで、街を歩くのが嫌だったということもあり相成った次第。モントレー5Fの端の方で小さく営んでいる店で、すでに5人ほどの待ち。人気店なのが伺える。20分ほどで入店。20人ほどで満席になるこじんまりした店で、右側のテーブル2人席に通され着席。メニューはトマト、ジェノベーゼ、ペペロンチーノ、ボロネーゼ、和風とイタリアンパスタの定番ソースが並び、ここの特徴は麵が乾、生のどちらかをチョイスでき、量も120、150、180グラムと調節できる。悩んだ末に、夜のパスタ(好きなパスタ選択)&ビアセットでオジサンは赤唐辛子とにんにくのトマトソースの150グラム、生麵を、連れは海老のトマトソースバジル入り、150グラム、生麵を注文(各1,650円+税)。しばし店内を眺め品を待つ。やはり圧倒的に若い女性が多いが、チラホラと中年男性もいる。まもなく生ビールとサラダが運ばれ、ビールはハートランドの生。ハートランドが大好きなオジサンはご満悦。しかし、生だからしょうがないが、瓶で飲みたかった(ハートランドは瓶でそのまま飲むのが断然旨い)。10分ほどでパスタも姿を現す。ニンニクの香がガツンと鼻に、結構である。トマトソースは可もなく不可もなく、オジサンにはもう少しパンチが欲しいかも…。生麵は柔らかめで、一つは乾麺にするのも良かったかもしれない。全体的には良くまとまっていると思うが、何故、高崎まで来て、このパスタを食べなければならないのかと、イタリアン不作な東京東地区でも十分食べられるレベルと言っては失礼だが、正直なところなのである。やはり、オジサン、「シャンゴ」のカツスパを食べるべきだったと反省。こういった都会的なイタリアーノのスパはわざわざ高崎まで来て食べることもないのである。スパゲッティで町興しをするのなら、勝手ながらホルモンスパ、ひもかわ(これは桐生か)スパ、焼きまんじゅうタレスパ等、東京ではお目にかかれないものを考案して欲しいものである。
因みに何故高崎はパスタの街になったのか? 土地柄、古くから豊かな水資源と、日照時間に恵まれ農業が盛んに行われ、全国有数の小麦の産地としても有名で、うどんや焼きまんじゅうなど、小麦粉を使った「粉もの」料理が、郷土料理として愛され、「粉もの」料理のひとつとしてパスタ料理も高崎市民に根付き、ボリューム満点の美味しいパスタがリーズナブルに楽しめるお店が増えてきたという。それにもっとも火をつけたのが1968 (昭和43)年、イタリアンの老舗「シャンゴ」の創業である。シャンゴに多くの料理人が集まり技術を習得し、その方々が独立して多くのイタリアンのお店が増えていったそうである。現在では高崎市内は人口当たりのイタリア料理店が、全国的にも多いといわれ、これが高崎がパスタの街と言われる由縁。
なんだよ、やっぱり「シャンゴ」に行かなければ始まらなかったのだ。地方は車がなければ生きられないということを身にしみて実感した旅でもあったのである。ヤレヤレ。
*1
上毛かるた(じょうもうかるた)は、1947年(昭和22年)に発行された群馬を代表する郷土かるた。全44枚あり、群馬県の名所旧跡や輩出した人を札としている。ちなみに『上毛』とは群馬県の古称。「浅間のいたずら鬼の押出し」「桐生は日本の機どころ」「心の燈台 内村鑑三」「利根は坂東一の川」「世のちり洗う四万温泉」「繭と生糸は日本一」
京ヶ島天然温泉(湯都里)
群馬県高崎市島野町890-3
お問い合わせ:027-350-8811
利用時間 午前5時~午前0時(最終受付午後11時30分)
定休日第三木曜日(8月は無休)
交通 バス:高崎駅東口市内循環バス「ぐるりん」京ヶ島線上大類先回り23分「群南団地」下車
車:高崎I.C 1分
駐車場:普通車380台
ホームページ:https://www.yu-tori.jp/
日帰り温泉入浴料
一日大人830円 子供(3才~小学生)300円
※土日祝は大人980円、子供450円
※表示価格は税抜き
「はらっぱ」 駅ビルモントレー店
ジャンル パスタ、創作料理
予約・お問い合わせ 027-322-5455
予約不可
住所:群馬県高崎市八島町222 高崎モントレー 5F レストラン街
交通手段:JR高崎駅より徒歩2分
高崎駅併設の駅ビルモントレー5階レストラン街
高崎駅(JR)から92m
営業時間
11:00~21:30 (LO.20:40)
日曜営業
定休日営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。