No.84 群馬県高崎市「栄寿亭」のカツ丼(500円)は東京の西荻窪「坂本屋」のカツ丼なき後、永遠に残したい一品(青春18きっぷ日帰り旅③)

 静岡伊東の日帰り旅(No.81, No.82)が結果オーライだったので、それに味を占めて、さてお次はどこにと、思案の末、高崎と相成った。こんな機会でなければ、失礼ながら足を踏み入れないのではと思ったからである。それでは、県庁所在地の前橋でなく、何故、高崎かと問われれば、何やらここはパスタの街として最近売り出し中で、麵ならなんでもごじゃれのオジサンは、どんなものかいなと興味を抱いたからである。早速、思い立ったら吉日と、早起きして、自転車で上野駅まで向かい、高崎線に飛び乗ったのであった。
 しかし、私と高崎といえば、大学時代にクラブの後輩に高崎女子高校出身のKという女性がいたなというぐらいで、他にはほんとナーンモ縁がない。60を過ぎ、やっとこの歳になり自分の意識化に入ったということは、これも何かの縁、ここぞとばかり一夜漬けで勉強いたしました高崎を。ただ、かつて、前橋、高崎はかなり市民の民度の高い場所だった記憶がある。私17年間出版社をやっていたが、本の注文具合で、大体地方自治体の民度の高さが分かったからである。三大都市圏と京都は別にして、弘前、前橋、高崎、川越、神戸、松山、金沢、はかなりのハイレベルの人種が隠れているなという印象を持った。またどうでもよい与太話をしてしまったが、今回の日帰り旅で、勉強の効果がでることやら、不安な気持ちをいだきながら、車窓からダ埼玉の見慣れた風景を眺め、熊谷、深谷、本庄を越えると、微かに赤城連峰の山並みが視界に入ってきた。上野から2時間ほど、普通列車だとかなりの時間である。こりゃ東京への通勤圏ではないな、せいぜい働きに行くには大宮止まりかなどと、自分とは関係ない、どうでも良いことを考えながら高崎駅を降りる。

 さすが、元県庁所在地(現在は前橋に奪われる)、ここは八王子駅前かと見まがうほどの大きさ(実際はそんなことはなく、かなり小さい)、駅ナカも賑やかである。大きなお土産さんがあり、帰りはここで仕入れようと、本日の最初の目的地洋食「栄寿亭」に向かう。ユネスコ「世界記憶遺産」の上野(こうずけ)三碑(山上碑<やまのうえ>、多胡碑<たご>、金井沢碑<かないさわ>)*のモニュメントと高崎だるま(やはりこれだな)の像を眺めながら、西口を出る。町ぐるみで絶滅危惧店のフェア?を開催しているらしく、その看板ポスターが目立つ。市全体で町おこしに本気で力を入れているらしいのが、このような看板にも伺えるのである。さて、お目当ての「栄寿亭」は駅から6分ほどで、あら町という場所にあるのだが、地図では駅前を垂直に真っすぐに走る国道を行き、田町通りにぶつかるので、それを左に1分とのこと。何と分かりやすいことか。ブラブラと周囲を見学しながら亀歩きで目的地へ。右手にユーチューブでも良く観た焼肉「朝鮮飯店」の建物がマンセー(万歳)、マンセーしているのである。しかし、こんなに北朝鮮、北朝鮮した焼肉屋を拝見いたすのも珍しいのである。北朝鮮の味付けは韓国より段ちに旨いので、ここも旨いのだろうかと焼肉好きのオジサンは興味深々で派手目の建物をじーっと眺めたのであった。
 しかし、昼前なのに街に人がいないのである。ここはオジサンの貸し切りの街と言っても、何ら不思議でもないような…。木更津(No.64No.65)もそうだったが、地方都市の駅前は何らかの対策を練らないと、こりゃアカンのではと、東京人が言ってもお叱りを受けるだろうから、このへんでとどめるが、何とかならないものかとただただ唖然とするばかりなのである。
 あら町の交差点を左に曲がると、見えました「栄寿亭」の看板が、近づいて行くと、派手さはないが、落ち着いた瀟洒な店構えで開店しているのか、いないのかと思わせるような静けさ。見た目で何か在ると思わせる。少し戸惑いながら扉を引き店内へ。ちゃんと営業しております。店内カウンターが奥まで一直線に並び、左手奥に大きな厨房。客の入りは15人ほどの椅子が8割ほど埋まっている。現在11時30分(11時開店)だから、これから客が増えていくのだろう。ちょうど厨房の真ん中あたりに席とる。すぐにベテラン風の女性が水とメニューを持ち目の前に。メニューを眺めると名物のカツ丼の他にカレーライス(500円)、カツカレー(650円)チキンライス(500円)、オムライス(550円)、カツライス(650~900円)、ハンバーグ(800円)、ポークソティー(800円)や海老フライ(900円)が並ぶ。   

 ここは初来店、名物のカツ丼(500円)をオーダーしなければと、私はカツ丼A(玉子なし)、連れはB(玉子引き)を当然ながら注文。しばし、厨房の中を観察しながら着丼を待つ。厨房は男女5名ほどが、テキパキと己の分担箇所があるのだろう、何の迷いもなく仕事をこなしている。その姿を夢中で見ていると、3分ほどで到着(早い)。
 目の前のカツ丼、見た目、イイのである。活きているのである。玉子なしカツ丼(A)、カツはヒレカツで、そこに伝統の和風ダレがかかっており、そのタレが甘くもなく、辛くもなく絶妙で結構な味わいで、またお米も抜群な炊き加減、そして糖尿のオジサンには危険水域を越えないような量で「ありがとう」と呟きたくなるほどである。玉子ひきカツ丼(B)は、この何年間か、丼ものを控えているので、偉そうなことは言えないが、今まで食べたカツ丼の中ではハイレベルな一品。この店に来て、このカツ丼を食べただけでも、高崎、侮れないぜと声が出そうなのである。創業は大正8(1919)年、どひゃ―100年以上営む老舗か、そりゃータレが旨いはずなのである。因みに私のような一見ではなく、地元民は他のオーダーもしていたが、どれも凄みがある味なのだろうなと推測できる。出来ればメニュー全部を制覇したいものだが、自分の年齢を鑑みると高崎にはもう来ないだろうなと、10歳若ければと、年齢を怨むのであった。話は変わるが、2023年5月に東京西荻窪のカツ丼の名店「坂本屋」が閉店した。あの化調タップリカツ丼が食べられないとは…。だんだんと昭和の化調タップリカツ丼も減っていくのだろうと思うと悲しいものである。「栄寿亭」さんには、この先100年、200年と高崎市民にこの伝統の和風ダレカツ丼を提供し続けていただきたいと切に願うばかりである(「栄寿亭」は化調なし)。

*上野三碑-平安朝より古い石碑は日本全国でも18例しかなく、3つの石碑が狭い範囲に集中している高崎市南部は大変珍しく、三碑はいずれも国の特別史跡に指定されている。
特別史跡は「国宝」と同じ価値があると認定され全国でもわずか63件しかない。

栄寿亭(エイジュテイ)
ジャンル かつ丼、洋食、カレー
予約・お問い合わせ027-322-2740予
予約可
住所:群馬県高崎市あら町7-1
交通手段:JR高崎線・上信電鉄「高崎」駅(西口)から徒歩6分
高崎駅(上信)から403m
営業時間
11:00~14:00(L.O.)
日曜営業
定休日
金曜・第3木曜
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA