No.86 愛知県名古屋市千種区今池「味仙」本店の本家本元の台湾ラーメンを舌鼓(名古屋めし食いつくし編①)

 私の父方の家は代々愛知県の常滑で、故に先祖代々のお墓もそこにある。6年前母親が亡くなり、その墓に入ったのだが、親不孝もので、一度も墓参りに行ってないという体たらくだったのだが、昨年(2023年)の7月にやっとこさ墓参りの機会が出来、15年ぶりに常滑の土を踏んだ。思えば、父親は、幼少の頃母親に捨てられ、15歳で父親(私の祖父)が亡くなり、家が没落後は一時親戚に預けられ、戦争が終わると、家の蔵を売り、東京に 出てくるという苦い、寂しい思春期を送ったと言っていた。そんな父親なので、故郷に対する恨みは強く、田舎の閉鎖性を批判し、よく愛知訛りの方言を聞くと、「嫌な言葉だなー」と露骨に顔を歪めていた。そして、母親は山形出身で、生前、1,2度来訪しただけの常滑などに何の思いもなく、この墓で眠ることを嫌がっていた。そんな二人だが、現在は名古屋中部国際空港が見える海岸沿いの墓場で静かに眠っているのである。そんな私もだが、次男なので、どこか好きな場所に墓を作ればよいのであるが、経済的にそんな余裕がなければ、死後はここへ落ち着くのだろうかと少し躊躇いがちに、墓前にお花を供え、「般若心経」を唱えるのであった。父親と母親に、自分の現況を話し、「見守っていてください」と心の中で呟き、逃げるように常滑駅に戻ったのであった。こんなに嫌われた常滑だが、一度はじっくりと探索したいものだとは思っている。何せ、私のオリジンの土地でもあるのだから。しかし、今回は、これを機に名古屋で食い倒れようと、「名古屋めし食いつくし」の旅に出ることになったのである。本日は名古屋のホテルにチェックインしてから、現在一番元気がある「味仙(みせん)」で名古屋のソウルフードと言われる台湾ラーメンをを食べてみようと相成った。
 「味仙」は今池の本店のほか現在名古屋周辺に9店舗を展開している台湾料理屋である。名古屋台湾ラーメンの元祖と言われ今や「寿がきや」ラーメンに続き、名古屋人で食べたことがない人はいないのではと言われるほどの人気ラーメンになっている。

 どうせなら本店へと宿のある栄町駅から地下鉄東山線で今池駅へ向かう。昔は随分地下鉄を利用して歩いたが、この駅で降りるのは初めてである。今池は名古屋の主要部にはどこも10分ぐらいで行ける場所。名古屋東部では一番と言われる繁華街らしいが街を見渡した印象ではガランとした感じで、東京で言えば小伝馬町から馬喰横山のあたりの街並みのよう。駅から1,2分ということだが少し迷ってしまったが無事到着。さすが本店らしく、中華街の高級大店店の装いの店。17時30分開店。18時には着いたが、店内満席で待ち10人ほどの列、さすがに人気店である。ただ、1,2階を含めて100人ほどは入れるのではというオオバコ店なので、回転は早そうである。目の前にタクシーが止まり、おーっと力士が4人ほど入店する。そう7月は名古屋場所なのだなと、力士が来るのも不思議ではない。4人でどれほどの量を食べるのかなどと余計なことを考えながら待っていると15分ほどで入店できた。1階の中ほどのテーブルに案内される。店内は活気で漲っている。まずは瓶ビール(クラッシックラーガー中瓶―530円)を、ツマミに人気メニュー青菜炒め(770円)、ザーサイ(550円)とあさり炒め(900円)を注文。手羽先も人気メニューらしいが、これは「世界の山ちゃん」でいいだろうと今回はパス。まずはザーサイをツマミにビールを流し込む。名古屋の夏は異常な暑さなので一際ビールが体に沁みる。青菜とあさりがほどなく到着、口に頬張る。両方とも味付けは濃いが上出来である。しばし、このツマミで紹興酒(古越龍山銀龍―650円)のグラスロックなどを楽しむ。店内は途切れることなく客が入ってくる。程よく酔いが回ってきたので、ここで台湾ラーメンとチャーハン(これも人気)を注文。当然大辛にしてもらう。

この台湾ラーメンは30年ほど前、同店の主人郭明優さん(60)が台湾で小皿に盛って食べる「台仔(たんつー)麺」を激辛にアレンジして出したのが始まりで、郭さんが台湾出身なので台湾ラーメンと命名したそうだ。最初は「味仙」の一部の客の間だけで食べられていたのだが、10年ほど前の激辛ブームから急激に広まっていったという。そして、名古屋市内の多くのラーメン店でも、台湾ラーメンという名のメニューが続出し(この名前では商標登録は無理だわな)、名古屋では「激辛ラーメン=台湾ラーメン」という定番になった。

 現在名古屋市内に約380あるとされるラーメン専門店のうち、200店以上が台湾ラーメンを出しているという。10分ほどで台湾ラーメンの大辛が到着。早速レンゲでスープを、辛さ好きのオジサンなので、それほどの辛さは感じないが…。ベースのスープは鶏ガラの醤油スープだろうが旨味が深く結構である。麵は中太のストレート、乗せているタップリのひき肉とニラが絶妙なコントラストで味を引き立てる。後からボディーブローのようにジワジワと辛さが…。額から汗が噴き出してくるが、何だか心地よいのである。さすがにスープを飲み干すことはできないが、満足度の高いとともに癖になる一品である。ただ思うに、これ、作る人によって微妙に味が変わっていきそうで、安定した同一の味を提供するのが困難なラーメンのような気がするが如何だろうか。
 店を出ても列は以前よりも長くなっている。ちなみに東京でも「味仙」(ニュー新橋駅前、虎ノ門、神田西口他)を見かけるようになったが、どうも東京で食べたいという気にならないのは不思議である。山本屋の味噌煮込みうどんと同様に名古屋でこその味と感じてしまうのは私だけであろうか。故にこれぞソウルフルということか?オシマイ。

味仙 (ミセン)今池本店
ジャンル 台湾料理、中華料理、ラーメン
住所:愛知県名古屋市千種区今池1-12-10
交通手段:名古屋市営地下鉄 東山線/桜通線 今池駅 9番出口 徒歩1分
(地下鉄駅構内出口手前に看板あり)
JR東海 中央本線 千種駅 徒歩10分
名古屋市営バス 今池 停留所 徒歩3分
(バス系統により降り場が異なる)
今池駅から181m
営業時間
17:30~翌2:00(L.O.翌1:30)
日曜営業
定休日 無休(12/31、1/1は休業)※2023年の12/31、2024年の1/1だけは休まず営業
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

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