さて満足顔で「大黒」(No.70)出て、本日の計画はこの後、千日前のなんばグランド花月を素見(ひやか)してから、「千とせ」(別館)で肉吸い定食を食べることだけは決めているのだが、その後は成り行きということで、ブラブラと千日前まで歩く。
なんばグランド花月は、大阪吉本興業の本拠地。テレビでは花月前を良く観ているのだが、生で見るのは初めてである。入口の前には、吉本の大御所たちの名前がズラリと掲げられて、劇場の前には吉本芸人のキャラクター饅頭屋や昨日食べた「たこ焼道楽 わなか」(No.69)千日前本店などが並び、周囲が吉本オンパレード状態。新喜劇が開催中ならば、新喜劇ライブをと思ったが、本日の座長がすっちーではなく酒井藍なので断念(連れがすっちーファン)。関東の人間は、関西のコテコテ系の芸能を毛嫌いする人がいるが、私は意外と好きなのである。特に大阪に特化した関西色が強い芸人の方が好みである。新喜劇がないとなれば、まずは1階のよしもとショップに入店。東京では買えないレアグッズはないかと探索。あるはあるは、誰が買うのかと思う品物ばかり、というか東京ではよほどの吉本新喜劇ファンでなければ買わないだろうという代物ばかり(吉本新喜劇ファンは少ないですから)、しかし、オジサンは夢中になってレア物品を探すのであった。見つけましたでー、Mr オクレと池乃めだかのストラップ。貧乏仲間の村上ジョージと前田政二(あるわけない。今は放送作家・太って昔の面影がない)※がないのが残念。しかし、村上はシールがあったので、野性爆弾とともに購入。もしお亡くなりなっていなかったらパチパチパンチの島木譲二さんのグッズがあっただろうにと(パチパチ灰皿があったら買っただろうな)、これも残念と思いながらも、グッズ巡りが楽しくてしょうがないのであった。さすがにすっちーのグッズはここまであるか状態。時間も忘れ、気付いたら時計も12時を回り、さて肉吸いをとショップを出る。ところが何と「千とせ」の前は長蛇の列、こりゃアカンと肩を落とし吉本ビルを後にする。
ほならどうしましょうと思案した結果、やはりここは大阪名物「お好み」やろうという結論に落ち着いたのであった。
しかし、この後、この旅最大の失敗をしでかしてしまうのだが、後悔先に立たず、知らないことの恐ろしさを実感したのであった。
関西の人からは「お好み」という言葉で親しまれている「お好み焼き」。彼らはご飯をつけて定食にして食べるほど「お好み」好きなのだが、兵庫の甲子園の友人などは、ルーティンのように1週間に1回、「お好み定食」を食べるという。その彼は常日頃「食は関西でっせ、東京の食べ物はマズイがな」と言っている男なのだが、私は1週間に1回「お好み焼き」を食べる男の舌というものが信じられず、発せられた言葉に懐疑を抱いていたのだが、今回の旅は、大阪の本場の「お好み焼き」を食べ、その彼の言葉の信憑性を確かめるのも目的の一つだったのである。故にこれぞ本場の「お好み」を食べなければいけないのである。
難波の町を本場求めて歩くのだが、数が多くて、どこが良いのか分からない。あまり有名な大所は止めようと、15分ばかり歩いただろうか、ディスプレイもあり、昭和風なノスタルジックな店が目の前に現れる。長年生きていると店構いと醸し出す雰囲気で分かるのである店の善し悪しが…。
「よしここへ決めた」と階段を上がり入店。しかし、イメージしていたカウンターの前に鉄板があり、目の前で焼いてくれる大阪「お好み屋」空間とはどことなく違う。店員がメニューを持ちそそくさと席へ案内しようとするが席などない。あるのは区切られた個室があるだけ。こちらですと、個室の引き戸を開け中へ。畳が引かれた4畳半ほどの空間に鉄板のテーブルが一つと座布団が四つ。「あれ、こういうのって東京のお好み焼き屋にたまにあるよね」とつい口から言葉が出るのであった。そうここは大阪の個室お好み焼きの店だったのである。私たち関東人が馴染んでいる、店員に依存しない自分で焼く「お好み焼き」屋なのである。あるのですね、関東と同じお好み焼き屋が大阪にも、早く言ってよー、なのである。しょうがないガッカリしながら座布団を敷き、腰を下ろし、横にソースや胡椒や青のり、かつお節の入った容器を乗せた馴染みの細長いステンレス皿と見慣れた鉄板をボーット見詰める。横の壁には焼き方指南の紙が貼られ、何だか地元浅草のお好み焼き屋に来ている雰囲気に浸りながら、苦笑いする間抜けな二人がいたのだった。しょうがないと気をとりなおして、生ビールとサワーとヘルシーMIX(イカ+昔焼き+大葉)(1,134円)と豚モダン(1,000円)を注文。心の中では「サーッと食べて」、忘れたことにしようと思いながら、必死に焼いて口に入れるのであった。しかし、マズイわけではないのである。私の焼き方が悪いのだろう、ただ東京のお好み焼きと何も変わらない「お好み焼き」が出現しただけけであった。この店「はつせ」という店名で創業昭和20年の老舗。自力焼きという大阪では珍しい店なのだが、それが逆に親しまれているらしいのである。全て私たちが悪いだけで、「はっせ」さんには何問題はありませんのでくれぐれもご容赦下さい。
さて、どうも大阪のド直球のソウルフードに相性が良くないが、気をとり直して、またブラブラと難波巡りをしたのだった。少し夕食までは時間があるので、その前に、一度は行きたかった大阪の銭湯で息抜きをしようというアイデアが浮かび、ネットで難波の銭湯を検索。オーっと、なんば温泉、あかし湯、清水湯、末広湯、金毘羅湯、ヘルシー温泉桜川他ズラリと十件ほどが出てくる。大阪は銭湯が多いとは聞いていたが、難波周辺でこれだけの銭湯があるとはあっと驚くためゴローである(古いな)。数ある中からそのまんま難波のなんば温泉をセレクト。営業は14時からと早く、現況の14時にぴったりで、なんば温泉に向かう。しかし、地図を頼りに向かうが、お上りさん状態で地図が読み取れず迷い子になるのであった。何だか東京の秋葉原のような街(後に調べると大阪のオタクの聖地「でんでんタウン」)へ迷いこみ途方に暮れて、なんば温泉前にヘトヘトになり到着したのが15時30分。1時間半も迷い子状態になっていたことになる。しかし、このなんば温泉が素晴らしい銭湯で、湯が活き活きとし、サウナの温度も最適で、自宅近くにあったら毎日のように体と心の洗濯をしたくなりそうな空間で、さきほどの「お好み」間違いも吹っ飛んでしまうのであった。さて心身を癒した後は、また難波の中心街に戻ったのだった。
さすがに本日の夜は、いろんなツマミで酒を飲もうと思い居酒屋へ入ることにする(居酒屋については後述大阪の居酒屋編で紹介)。肴をツマミながら軽く飲んで居酒屋を出て後は難波のネオンと賑わいをまた体感しようと戎橋方面に向かう。途中、こんな繁華街には珍しいアイスキャンデー屋が堂々と店を構えているのを発見(これぞ大阪)。その名も「北極」。難波では超有名なアイスキャンデー屋(そりゃそうだろう難波のど真ん中)で、これは、どんな塩梅なのか味見しなければと、店の冷凍庫からプレーンのミルクアイス(170円)を1本取り出しレジへ。そして、歩きながら先端をかじり口に入れる。驚くほど良い塩梅なのである。今までの人生の中で食べたアイスの中で最高峰かもと思うほどに、ピュア―で、口当たりの良いアイス。大阪に行った際は是非食べて下さいといえるほど推奨できる逸品なのであった。すぐなくなってしまったので、おかわりにもう一本、今度は違う味を買おうかと思ったのだが、あー私は糖尿だと、ここは踏ん張ってガマンしたのであった(エライ)。と言うか、この後、どうしても食べなければいけない一品が控えているのでおかわりするわけにはいかなかっただけである。
それは大阪のラーメン聖地とも言われ、大阪人が一番好きな〆の一品、その名も「金龍ラーメン」。このラーメンを食べなければ本日の難波のソウルフードの旅は終われないのである。大阪人には言わずとしれたこの「金龍ラーメン」は昭和57(1982)年開業。神座(かむくら)とともに、ミナミを代表する老舗。しかし、神座が多店舗展開(東京にもある)をしているが、「金龍」は難波に5店舗(本店、難波千日前店、戎橋店、御堂筋店、道頓堀店)があるのみの地域密着型。
実は、以前の神座を東京で食べて、どこが旨いのだというと、大阪ラーメンに対する評価が下がっていたので、まーあ「金龍」も期待はしていなかったのである。
伺った店は道頓堀店で、まずは自販機で、私はチャーシューメン(1,100円)、連れはラーメン(800円)のチケットを購入。自販機の後ろに厨房があり。厨房の右側にテーブルが五つ?ほどかあり、左には椅子がL字型4つほどある(完全に店の外)。変わっているのは全て椅子が畳敷き。チケットを購入すると少し待ったが、左の2人掛けのテーブルが空きそちらに向かう。チケットを厨房の定員さんに渡し、しばし待つ。そばのカウンターの上にニラとキムチが置いてあり、小さな発砲容器が重ねられていて、それに入れる。ニラもキムチも大好きな私は大量に容器に入れ、テーブルに。10分ほどで両方のラーメンが到着。まずはスープを口に含む、トンコツスープだが、それほど濃くはない。福岡の長浜より少し濃い程度という感じ。麵は中細ストレート麵。ニンニク大量に入れ、胡椒をかけ、夢中で啜る。チャーシューも程よい薄さで上出来。何だかかたじけないほど良いのである。ひょっとすると、これ博多トンコツより良い味を出しているような…。ニラとキムチを入れて味変しながら食す。やはり、素晴らしい。トンコツラーメンなのであるが、今まで食べたトンコツラーメンより一枚上のように感じる。そして、余り腹にもたれず〆の一品になるのも納得したのだった。東京人にはラーメンの質は違うが、初めて神宮前の「ホープ軒」(背脂)や荒木町の「一心ラーメン」(醤油)を食べたときの感動に似ていると言ったら分かってもらえるのではないか(逆に分からなくなるかな)。大阪はラーメン屋が少ないなと感じていたが、それは粉もんを食う文化で、ラーメンを余り食べないからかなと思っていた。しかし、こんなラーメンがあると、他が太刀打ちできないからだなと別の憶測が頭をよぎるほどに「金龍ラーメン」は凄みを感じる味だった。ここへ来て徐々に大坂<食>が見えてきたように思う。さあー明日の天満橋が楽しみになってきた。それよりオジサンの大阪弁おかしおまっか?
※ラブユー貧乏トリオ
80年代の人気番組「おれたちひょうきん族」
金龍ラーメン 道頓堀店(きんりゅうらーめん)
ジャンル:ラーメン
お問い合わせ:06-6211-6202
予約可否:予約不可
住所:大阪府大阪市中央区道頓堀1-7-26
交通手段
地下鉄御堂筋線・千日前線「難波駅」14番出口より徒歩5分
日本橋駅から335m
営業時間:24時間営業
定休日:無休
千とせ べっかん
ジャンル:うどん
お問い合わせ:050-5869-8191
予約可否:予約不可
住所
大阪府大阪市中央区難波千日前11-6 なんばグランド花月 1F
難波駅(南海)から227m
営業時間:1:00~20:00
(売り切れ次第終了)※ラストオーダー19:30
定休日:無休
千日前 はつせ
ジャンルお好み焼き、鉄板焼き、居酒屋
予約・お問い合わせ:06-6632-2267
予約可否:予約可
住所:大阪府大阪市中央区難波千日前11-25
交通手段
大阪市営地下鉄御堂筋線「なんば駅」2番出口から徒歩5分
大阪市営地下鉄堺筋線「日本橋駅」5番出口から徒歩5分
難波駅(南海)から262m
営業時間
月~金 11:30~24:00(L.O.23:00)
土・日・祝 11:00~24:00(L.O.23:00)
定休日:無休
北極 なんば本店
住所:大阪市中央区難波3-8-22
電話番号:06-6641-3731
営業時間 10:00~22:00
定休日:年中無休
HP:http://www.hokkyoku.jp/