No.64 千葉県木更津市が誇る二つの弁当、「チャー弁」と「バー弁」を買いながら町の衰退を考える

 木更津に対するイメージはと聞かれ、私のすぐ頭に思い浮かぶのは、宮藤官九郎(クドカン)脚本・演出のドラマ・映画「木更津キャッツアイ」(金子文紀監督)<傑作である>と俳優中尾彰(粋がっているけど千葉の田舎者)の故郷だということしか浮かばない浅薄さ、あ、切られ与三郎とお富さんというワードを思いだすのがせいぜいなのである。
 そんなイメージだけで灼熱の八月のはじめ、木更津に初めて訪れたのである。何のために?弁当を買うために、どんな弁当を?「チャーシュー弁当」と「バーベキュー弁当」を買うために、ただそれだけのためだけに…。目的はそれだけのためなのだが、それではつまらないので、ぶらぶら歩きながらちょっと木更津をひやかしてみようと思った次第である。
 平日午前人混みでごった返す東京駅から内房線の君津駅行きの電車に乗る。千葉駅を過ぎると、景色も田畑(でんぱた)が多くなり、乗客は疎らになる。木更津駅に到着したのは午前10時半ホームに降り立つ人は、さすが房総きっての都会?通り過ぎた駅よりも幾らか多い。気のせいか、海香がほのかに鼻につく。対面(トイメン)の三浦半島で育ったので海辺の匂いに敏感なのかもしれない。まずは、「バーベキュー弁当(通称バー弁)」を求め西口駅前の浜屋さんを探す。


 JRの駅にはどこにでもありそうな西口駅前ロータリー、駅中にもたくさん出没していたが、ロータリーの真ん中にも「タヌキ」のオブジェが街のシンボルのように置いてある。無知な私は、童謡の「しょうじょうじ(証城寺)の狸囃子」の証城寺がこの街にあること、それに因んで「タヌキ」が街のシンボルキャラクターになっていることをはじめて知ったのであった。そしてまたどこにもありそうなデパート?ならぬスーパー?の大きな建物が目の前に。アクア木更津という名前のビルだということ。このビルの南側に浜屋があるらしいのだが、ひとまずビルへ。1階には木更津の案内所やジェイコムの店舗などが入っているのだが、ビル内に入ると、人は疎ら、2階以上は果たして店舗などあるのか、営業しているような気配がない。いやはやとトイレだけ拝借してビルを出る。ビルの南側にあるといわれても、その南側がどちらの方向だかわからない。とりあえずビルを一周回ってみんべ(漁師ことば)と周囲を徘徊する。ないじゃないかとボヤキながら歩いていると、おーっとありました、ネットで見た、浜屋の看板。そう言えば、看板のキャラクターも「タヌキ」だったと改めて気付く(バカですね)。周囲の店舗はシャッターが降りているが、さすが街のソウルフードを売る店はちゃんと開店しているのである。小体な店内に入ると、テーブルの上に幾種類かの弁当が並べてある。ここは、やはり当たり前だが「バーベキュー弁当」を買うしかないのである。ただ、スタンダード(税込み590円)特製(税込み820円)と二つあるので、どちらを選択するか決断がつかず立ちすくんでいる悩ましい自分がいたのである。取材用なのだから、普通はスタンダードを買うべきなのに、オジサン特製とかスペシャルという言葉に弱く、ついそちら選択してしまい、紹介するべきものを、紹介できないという失敗をこの企画でもやらかしてしまったことが多々あるので(読者はご存じのはず)、ここはきっぱりとスタンダードを買う。と思いきや、やはり、あれあれ「特製バー弁」を買ってしまったのである。ダメですほんとうにダメな人間である。
 次は「チャーシュー弁当」(通称チャー弁)である。その前に「バー弁」とは何かを浜屋さんのHPから要約脚色して紹介させていただく―浜屋の「バーベキュー弁当」は、昭和37年に木更津の駅弁として木更津駅西口の「みまち通り」で誕生してから60年、この弁当今年で還暦を迎える。この弁当の美味しさで、最初に挙げられるのはまろやかで深みのあるタレ。何せ40年以上、ずっと同じ製法で作られているので肉の旨味が隠し味の「秘伝のタレ」に混ざり絶妙の味を醸し出しているそうだ。一枚一枚丁寧に直火で焼き上げた国産豚ロースを使用し、お米は、直接農家さんから仕入れた全国の米どころの中からお弁当に最も合ったお米を使用しているそうだ。現在使われている「タヌキ」のパッケージは初期の頃のデザインの復刻版―これは間違いなく旨そうである。

 さて、今度は「チャー弁」を求めてとしまや新宿店さんへ向かう。「みまち通り」をまっすぐ木更津港方面へ5分ほど歩いて右へ行き10分ほどだという。オジサンの亀足だと30分は掛かるがなと思いながらも決心する。何も急ぐこともない無用の人、木更津の街を観察しながら、ぶらぶらと歩を進める。しかし、どこの地方も駅前の廃れ方は悲惨だが、この木更津も、案の定、通りの店舗ほとんどシャッターが降り、人も歩いておらず、もう少しでゴーストになってしまうかのよう。おまけに通りのアーケードが海に近いからだろう鉄錆で無惨に崩れ落ちそうな状態で、より一層の侘しさを醸し出しているのである。しかし、この「みまち通り」、以前は活気があったのだろうという<氣>だけは多少醸し出している。
 地上交通の発展による海上交通の衰退をもろに受けた町であり、町の発展は昭和40年頃がピークで、その後落ち続けていったのは肯けるのである。まさに商船大学(現海洋大学)の人気と衰退の曲線も同じ時期なように思うが如何だろうか。そんな人気(ひとけ)のない通りを歩いていると、やはり「タヌキ」の他に与三郎とお富のワードがちらほらと掲げられている。右手の最福寺には、主人公の与三郎のモデルとなった「中村大吉」のお墓があり、左手に割烹「お富」なる看板が見える。「みまち」通りを右に曲がり少し行くと銭湯を改造した「木更津焼きそば」なる看板を出している店の前へ、これも町興しという気持ちが溢れているが、長く続けて欲しいものである。やはり歩くこと30分ほどで、コンビニのようなとしまや新宿店の前へ、駐車場に車を止めて、労働者風の人たちが、ちらほらとお店に入っていく。それにつられ私も店内に、中に入ると右手にこれでもかというほどの弁当の山。また種類も多く、それに私には罪深いカロリー豊富な弁当ばかり、普通ならチョイスに悩むのだが、ここは、またまた当たり前だが「チャー弁」一点張りなのである。多くの中から間違えないように「チャー弁」を探す(何せすべて似たような色)。やはり名物である。ど真ん中で買ってくれと主張していた。「チャー弁」(税込み720円)をゲットして精算へ。左手にイートインスペース(感染症対策のため現在は休止)があり味噌汁を無料で提供している。さて二つの弁当をゲットし、本日のお仕事は終了なのであるが、ギャービーン。「孤独のグルメ」の松重豊ではないが、お腹が減ってきたのである。(No.65に続く)

吟米亭 浜屋 木更津西口店(ぎんまいてい はまや)
ジャンル:弁当
お問い合わせ(木更津西口):0438-22-7201
予約・注文:0438-22-4161
予約可(仕出)※要確認
※バーベキュー弁当は、お取り寄せや地方発送は行っておりません。
住所:千葉県木更津市富士見1-10-24
交通手段:JR木更津駅(西口)より、徒歩2分木更津駅から164m
営業時間:10:00~18:00
※10:00~バーベキュー弁当が無くなり次第閉店とさせて頂きます。
定休日:無休(1月1日~1月3日はお休みです)
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
公式Web:http://5han.co.jp/index.html

としまや弁当 新宿店
ジャンル:弁当
予約・お問い合わせ:0438‐25‐7520
予約可(仕出)※要確認
住所:千葉県木更津市新宿7-2
交通手段:木更津駅から785m
営業時間:5:00~23:00
定休日:無休(1月1日はお休みです。)
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
公式Web:http://toshimayabentou.jp/index.html

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