No.120 栃木県足利市富町鑁阿寺境内の「大日茶屋」のポテト焼きそばと足利シュウマイを食べながら『太平記』の世界に思いを馳せ、大日如来のご加護をいただくのであった(足利日帰り旅①)。

 足利フラワーパーク入場券チケット付き切符を持って、朝8時53分北千住発、東武伊勢崎線りょうもう5号赤城行に乗る。足利は何十年来、訪れたいと思っていたが、結縁がなく、とうとうその願いが叶うのである。足利は言わずと知れた室町幕府を開いた足利尊氏のホームグラウンド。また、日本最古の高等教育機関である足利学校がある。また森高千里の歌う青春ソング「渡良瀬橋」の舞台はここである。これほどの町なのに、何故か、日光(徳川)や宇都宮と比べると、地味な感じがするのは私だけだろうか。これも、歴史においての室町時代の不人気と戦前に尊氏が逆賊アンチヒローに貶められたところに起因しているのかなどと邪推してしまいたくなるが、しかし、私の体験から、このような場所は、出雲市や弘前市、松本市と似て、町全体が風通しが良く、落ち着きがあり、住民の民度も高いと相場が決まっているのである。というか私にとっては、大好きな『太平記』のルーツの町であり、この町を訪れなければ、人生においての画竜点睛を欠くだろなという場所なのである(そこまで言うか)。さて、りょうもう号の鮮やかな紫色の布の座席に腰を下ろし、ビールを飲みながら窓外の景色を眺めながら1時間20分ほどで足利市駅に到着、ちかいじゃないか。

 足利はちょうど渡良瀬川を挟んで、東武伊勢崎線の足利市駅とJRの足利駅がある。京急とJRの蒲田駅ではないが、これを結べば町がもっと活気づくのではと思わせるほど口惜しい微妙な距離感、と言うことで、改札を出ると、すぐに渡良瀬川のほとりに出る。足利市のメインはJR側なので、川を渡り、対岸に向かう。上流の方にあの「渡良瀬橋」が見える。本日は、足利織姫神社-鑁阿寺-足利学校-佐野ラーメン―足利フラワーパークへ行き、帰宅というハードなスケジュール。しかし、橋の上では我関せずに名曲を口ずさむ馬鹿がいる。橋を渡り市立美術館を横に大通りを左に山並みが見える方向に亀歩きで進んでゆく。どこの地方の町並みも同じだが、人は疎らにしか歩いていないが、やはり、この町の空気感は少し違うように感じる。どことなく城下町の風情が感じられる。建物も古民家が多いが、それが町全体に風格を与えている。目指す織姫神社は、1200年以上の機織りの歴史を持つ足利で、その機織りの産業新興のためにできた神社、機織りを司る天御鉾命(あめのみほこのみこと)と織女天千久々姫命(あめのやちちひめのみこと)を祀る。本殿まで上がる間に七色の鳥居が迎えてくれ、それを上ると、足利の町が一望でき、ここを足利最高のスポットと言う人もいる。やはり、狭窄症の身とはいえ、ここは、鳥居を潜って本殿まで上らなければと、決心し、苦虫を潰したような顔をして休み休み足を石段に掛けたのであった。その甲斐あって、本殿の下の広場からの絶景を満喫することができ、休日だからなのか神社の神楽殿では、狂言が催されている。それを少し楽しみ、山を降りる。降りきって境内に出ると、目の前には八雲神社がある。これこそは、あの歌に出てきた神社(聖地)かと、早速お参りして喜んでいたのが、後で調べて見ると、足利に八雲神社は3つあり、歌に出てくるのは、そこから少し離れた総社の方だということ、紛らわしいことするなと、怒ってもても後の祭りなのである。

 神社に参拝の後は、もう本日のメインイベント、足利氏宅跡(鑁阿寺)へ向かう。足利市の中心といっても過言ではない場所に鎮座している。この鑁阿寺は、もとは、足利邸宅で、足利氏二代目義兼が自宅にある居館に大日如来を奉納したのが始まりだそうで、その後、三代目義氏が堂塔伽藍を建立、足利一門の氏寺となり、武家文化(室町幕府)が花開く重要な拠点となったのである。まあ私の大好きな『太平記』にも、繰り返し登場する象徴的場所である。現在本堂は国宝。 

 落ち着いた足利の街を15分ほど歩くと、一際、時代劇に出てくるようなお堀と土塀が現れる。すぐに、これだなと思いながら、正面の山門が見える方へ歩を進める。山門の前のお堀に、足利の家紋がついた垂れ幕がかかった短い橋がある。ここがあの鑁阿寺かと、橋を渡り、金剛山と刻まれた扁額を眺め山門を潜る。長い参道が伸び本堂が目に入る。まずは本堂へと進む。左に樹齢500年の大銀杏と多宝塔を横目にし、本堂の前で一礼、石段を上り、規矩通りの挨拶をしてから、ブラブラと境内を散策。足利の兵士(武士)は皆ここから気勢を上げて、鎌倉や西国へ死ぬために向かったのかと、その鎧を着けた兵士たちの頑強屈強な姿が頭に浮かんでくる。足利将軍歴代将軍座像が拝めるというので経堂へ入る。足利家の顔のイメージを脳にインプットし、今後の室町研究に役立てようと15人の座像を殊勝な気持ちで眺める。

 しかし、この境内(足利家の敷地)はどれだけの広さがあるのか(約41,300平方メートル、<12,300坪>)、隅々まで歩いてみたいが、本日はまだまだ予定があるので、このへんでおいとますることにしたが、境内を出ようとすると名物足利シュウマイという幟(のぼり)がやけに目立つお茶屋(大日茶屋)を発見。さすがに疲れたので休憩。小腹を満たすのにはちょうどいいシュウマイ(2個190円)とポテト焼きそば(500円)を注文。何やらこの二つは足利のソウルフードらしい。願ったり叶ったりである。店内はどこにでもありそうなTHEお土産屋の食堂スペース。お昼前で、客は私とアベック1組だけ。時間が止まったようで長閑である。まずはシュウマイが目の前に、「ハハー、こういうやつね」と、妙に納得。肉は入っておらず、タマネギと片栗を練ってシュウマイの形にしたもの。食感が何ともいえず、甘辛の特性ソースがかかっているので、不味くはないが、子供のおやつには、そんなに癖がないから良いかもしれない。確かに、このようなものをソウルフードと言うのかも…。続けてポテト焼きそばだが、麵は太く、ソースはそんなに甘くなく好みである。ポテトはあってもなくても構わないが、まあジャガイモの生産量が多い土地ならば構わないと思われるほどのもの。これも子供が腹を満たすのには結構な品で、大人でも、こんな空間で小腹が空いた時に食べるものとしてはアリアリである。しかし、この店何だか落ち着いてしまい、もう予定をキャンセルして、ここでゆったりとお茶でも飲んでいようかなと思わせる店なのである。まさに大日如来のご加護がそうさせると思わざるをえない。ヤバイ、足利学校に急がなければ…。

大日茶屋(だいにちちゃや)
ジャンル 焼きそば、郷土料理、カフェ

お問い合わせ     
0284-55-4554
予約不可

住所      
栃木県足利市家富町2220 鑁阿寺

交通手段             
JR足利駅より徒歩約10分
足利駅から647m

営業時間             
火・水・木・金・土・日
09:00 – 16:00
月 定休日

支払い方法         
カード不可  電子マネー不可

QRコード決済不可