以前(20年前)、経営する会社が少し儲かった時に、フィリピンのセブ島に社員旅行に行った時があった。流石にその頃、日本とは物価が違うため豪勢な大名旅行ができたが、海辺のリーゾート地のわりに海がイマイチ美しくなかったような気がした。まあ、その前に行ったオーストラリアのゴールドコーストのマリンブルーの海を見たからかもしれないが。そのすぐ後、沖縄に知り合いがいたので、社員数人と行く機会があったのだが、その時見た海はこの世のものとは思えない美しさだった(ひょっとするとGコーストより沖縄の海の方が透明感があったような)。若い社員は身体を早くその海に沈めたくてウズウズしていが、沖縄の知人は「ウチナンチュ―(沖縄の人)は海など入らない」と言って素気無く地元の観光地を案内するのであった(かわいそうに結局彼は海には入れなかった)。
私の初沖縄の感想は、ここは日本ではない、に尽きていたが、南国の海の輝きとともにやはりNo.28横須賀と同様に基地の街というグレーの色感は拭えないなということだった。基地の街は何故にグレーの色感が付着するのかとズ~っと考えていたが、単純なことで、戦闘機、軍艦、ヘリコプター等、圧倒的な鉄の塊感と、兵隊のミリタリーの服飾色が、街のイメージにグレー感を印象づけさせるのではないだろうか。ただそれだけのことだが、それでは果たして、米軍が撤退すれば街にグレー感は無くなるのだろうか?きっと記憶の中のグレー感がなくならなければそのまま残り続けるのだろう、現在の東京の山谷地区のように(違った意味でのグレー感であるが)…。
私の会社では以前に『沖縄が独立する日』(夏目書房刊)などというセンセーショナルな本を出版したが、沖縄にいるとそれも絵空事でもないなあと思えてくると同時に、かつては琉球王国だったのだから独立しても何の不思議はないなと思えてくるから、こりゃ不思議である。
知人は、様々な美味しい食の店も連れていってくれて、現在では東京でも沖縄料理は食べられるところは増えて珍しくもなくなったが、その頃はまだまだどれも新しい出会いだったような気がする。
ゴーヤチャンプルー、ラフテ、ジーマミ豆腐、テビチ、ミミンガー、海ブドウ、グルクン揚げ、ヤギ汁、ぜんざい(あずきかき氷)等、沖縄の食は数あれど、ほとんど食べつくしたのではないか。最後は牧志市場(公設市場)でベロンベロンになるまで飲み続けて終わったように記憶している。そんな数ある沖縄料理の中で、まずは、これこそ沖縄のソウルフードだと私が思うのは「ポークランチョンミート」である。この「Pランチョンミート」、私が滞在した3日間でも一番食した食べ物ではないかと思う。ゴーヤチャンプルーの中に入っていたし、ホテルのビュッフェの朝食には必ず出て来たし、またおにぎりでもランチョンミートが入っていた(ご飯を挟んでいるのが主流らしいが)。これこそ沖縄の人がもっとも好む味と言っても間違いないのではと思うのである。しかし、ウチナンチューはハムやウインナーを食べないのかなと疑いたくなるほど、この「Pランチョンミート」を常に食べるのである。
それでは「Pランチョンミート」をご存じでない人のためにご紹介すると、豚ひき肉に香辛料を混ぜミンチにして固め、それを缶詰に入れたもので、もともとは戦後、米軍から配給されたことが元となり、ウチナンチューの当たり前の食材になり現在まで食べ続けられている。沖縄では別名「ポーク」と呼ばれていて、ヤマト(本土)では「SPAM(スパム)」と表示されている缶詰が多く流通していて、どこかで見たことがあるのではないか。味はハムやソセージに比べ少し肉の癖があり、最近の若い人は食べた人は少ないだろうがコンビーフの味に近いように私には感じる。雰囲気的にはこちらでは昔から食べられている魚肉ソセージの安っぽい感覚のフードといえば分かりやすいかもしれない。
今回、「ホーメルフーズ」の「スパム」(アメリカ産)、「TULIP(チューリップ)」(デンマーク産)という沖縄で一番有名なものと、国産(?)「オキハム」の「OKIHAMポーク」を実食してみた。
その前に、私、「Pランチョンミート」は好きである。赤ウインナー、石井のハンバーグ、コンビーフ、缶詰めウインナーと赤縁の薄ハム(ハムカツはこれでなくてはいけない)と同様に、現在のように豊富にモノはなかった昭和の時代の懐かしい味がするからである。
今回はっきり言って、どれも味の違いが分からなかった。あえて言えば、「スパム」が一番肉の匂いがし粗雑感があったような。沖縄では、「スパム派」と「チューリップ派」に分かれ論争になるぐらいだから沖縄県民にとってはどえらいフードなのは確かなのである。ただバイアス(偏見)がかかっているだけだと思うが、私には「オキハム」が一番安心して食べられるような気がした。どうも外国産は大丈夫かなと。しかし、保存料や添加物などはそれこそたくさん食べなければ問題ないのである。健康食品だって過剰に摂れば身体に変調をきたすのである。こう言った商品にかつて発癌性物質があるなどと問題なり、また今でも問題にしているが、私に言わせれば、医者に言われれば何でもどんな薬でも飲む方がよっぽど危ないのに、何でこんことを氣にするのか(マズイ、私もワクチンを打ってしまったが、ひょっとすると15年ぐらい命を縮めたかもしれないな)。そういえば、かつて1960年代(小さな頃から一番添加物を食べている世代)生まれ40歳死亡説なるのがあったが、あれも嘘っぱちだったな。
話がぜんぜん違った方向へ行ってしまったが、この「Pランチョンミート」は戦後の沖縄の象徴的な食であり、米軍基地がなくなっても、このソウルフードは永遠にウチナンチューに食べ続けられていくのであろうと思う。平常時に戻ったら、沖縄の透明な海を眺めながら「ポーク玉子」とワインのブレックファーストと午後は牧志市場で泡盛の古酒を飲みながら沖縄料理を舌鼓みしたいものだ、ヤレ、いつになることやら。
因みにランチョン「luncheon」は、ちょっと気取ったフォーマルランチ(昼食会)と言う意味です。神田に有名なビアレストラン「ランチョン」がありますが、もう何年も行ってないな。ステーキランチ良かったです(余計でした)。
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