No.66 大阪府大阪市浪速区恵美須東(通天閣下)の「三吉」の立ち食いうどん・そばは<たぬき>が<きつね>に化かされてしまうのであった(大阪上陸編1)

 13年ぶりの大阪である。今回の上陸(東京人には大阪だけはこの言葉が相応しいような)は、今回を含めて3回目。しかし、前2回は仕事絡みで、日帰りと1泊2日という、素通りと言っていい上陸だった。今回は仕事であるが、2泊3日。この大阪にかなり踏み込めそうで、大阪ソウルフードも食べまくることができそうなので楽しみである。
 そこで、今回から五回に渡り(この回、No67No.68No.69No.70)、大阪上陸編として、大阪を出汁(ダシ)にして(食と土地の魅力について)、オジサンなりの<正直>な批評を語らせていただければと思うのである。まあ、大阪の<コテコテ>に糖尿の身でどこまで迫れるかは分かりませんが、お付き合い下さい。
 この度の宿は淀屋橋の相鉄フレッサインホテル。神奈川県の相模鉄道が、こんな所にも拡大・膨張しているとは知りませんでした。今回のテーマはとにかく、ディープな大阪を体感するということで、1日目は言わずとしれた阿倍野、天王寺、新世界、西成地区という、これぞ浪速(なにわ)のコテコテ地区を歩くことにする。まずはチェックイン前のホテルに荷物を預け、地下鉄で、1日乗り放題のエンジョイエコーカード(600円)を買い、通称ミナミといわれる方向に。到着駅は地下鉄堺筋線の恵比須駅。淀屋橋は元船場といわれた地区で、現在では、大阪市役所中之島図書館、各大手企業があるビスネス街だが、そこから15分ほどで、この下町? 地区へ行けるとは、大阪のコンパクトさに驚かされるのである。

 駅を出ると、おー憧れの大阪のシンボル通天閣が聳えている。東京タワーもスカイツリーも上ったことがない、これからもないだろう東京人が、これぞ遠くのものに憧れてしまう遠隔対称性というものか、何故か通天閣には上りたかったのである。上る前に、初めての新世界をぶらぶらと散歩。やはり<コテコテ>である。看板のセンスがぶっ飛んでいるのである。ここまで塗りたくんなくてもいいだろう、と呟きたくなるような逆ハイセンスな街並み。というか、もうシュールなのである。昔の浅草でも名古屋の大須観音でもこんなに昭和感がなかったような、わざと、無理やり昭和感をだしているテーマパークのような雰囲気なのである。でもこれが自然なのが可笑しいのである。平日のお昼前なので、人は疎らだが、射的場やスマートボールが堂々と営業しているのが凄いのである。ショップもすべてバッタ屋に見えてしまうのは何故か? まー想像はしていたが、それを裏切る光景に、オジサンの衰えた前頭葉も何年かぶりで刺激を受けたのである。

 このインパクトのある街を尻目に、まずは通天閣へ。初代通天閣からあった復刻大天井画を眺めながら展望台の入口(地下から入る)へ。本日は特別野外展望台「天望パラダイス」/跳ね出し展望台「TIP THE TSUTENKAKU」(94.5m)<一般展望入場料900円+300円>へは上らず、5Fの黄金の展望台までにする。さて、ここらら展望台へ上がるまでが、またぶっ飛びなのである。さすが大阪商人の神髄を垣間見るのである。これでもかとお金を落とさせるように仕組まれた空間、最後には写真撮影までさせられて、スナップ写真を買わされるのだが(ほとんど買うアホはいない<特に関西人は>、私のように外部からきた気弱な東京人は買ってしまうのだが<そういうバカ狙いなのだが>)、展望台でも、これでもかとしつこいぐらいに様々な自販機が現れ、空間のレイアウトなどお構いなしの状態。この剥き出しの商売根性も、ここまでゆくとある種の凄みさえあるのだった。しかし、眺めは最高である。幸福の黄金のビリケンさんを背に、大阪を四方八方に見渡すと、「よし、もう一花咲かせるか、頑張るデー」と「どてらい男(ヤツ)」の山下猛造状態になるのは(古いなー)オジサンだけか? オジサンさんだけだろうと思う。そんなハイな気持ちになったオジサンは、ショップで、ビリケングッズ(キーホルダーとキラキラ色が変わる置物)まで買ってしまい(これって霊感商法)、また大阪人にやられてしもうたのであった。

 興奮して前置きがながくなってしまったが、大阪上陸初めての食事は、この通天閣の下にある立ち食いうどん・そば「三吉」。東方はそば・うどんだが、やはり上方はうどんが先なのだなと変に感心して「三吉」を探すが、どこにも見当たらない。ぐるりと一周すると、ありました、ありました。ちょうど出来立ての滑り台(タワースライダー)の下に店が構えているのである。普通の観光客ならこの店素通りしてしまうような場所にあるのがオツである。プレハブの建物?の前にはうどん・そばと書いた大きな看板がある。何となく一見さんは入りにくい雰囲気を醸しだしているが、それは地域への密着度を現わしているのだろう、と深読みして、決心して入店(なぜ立ち食いうどんを食べるのに決心が必要なんや)。カウンター7、8人も入ればいっぱいになる店内に先客は一人、まずはメニューを見ると、かけが170円で最高プライスがデラックスの(天ぷら、揚げ、玉子)370円という圧倒的な安さに驚愕。私はきつねうどんを連れはたぬきそばを注文、各220円。まずはきつねうどんが到着、刻んだ揚げに昆布とネギ添えてあり、当然のごとく、返しは薄口醤油を使いほのかなきつね色。出汁もあごではなくカツオのような気がする。関東の汁のようにパンチはないが、これはこれでイケルのである。そして連れのたぬきそばが遅れて到着。あれ、そこに<たぬき>がいないで、一枚まんまの<きつね>がいるのである。これが噂で聞いた関西の<たぬき>かと、少し驚いたが、店側も関東人を驚かさないように、たぬきのイラストが貼ってあるのであった。ということは、関西には「むじな」や「バカしあい」がないということだな、と食文化の違いは面白いなと、うどんとそばを交互に啜ったのだが、さすがにそばは、この薄口醤油にはあわないように感じた。そば粉が立ちすぎてしまいうのである。やはりそばは、関東の汁と相性があうような…。

 この店、創業が1953年で創業70年を迎えようとしている。現在は2代目が奥さんと二人で切り盛りしているらしいが、この店観光客というよりも、この地域の住民には欠かせな店なのだろう、地元の人がひっきりなしに入店してくる。この側(そば)のジャンジャン横丁の入り口に「松屋」という立ち食いうどん・そば屋があるが、こちらもそそられる店で食べたかったのだが、さすがにハシゴは勘弁してよと、次の上陸時にしようとあきらめた。店を出ると、通天閣が真上に聳えていたが、因みに通天閣の柱のHITACHI(日立製作所)の広告なのですが、何故東京の企業の広告なのか、塔を建てる時に、関西の大企業(三洋やグリコ等)に広告依頼をしたのだが、すべてに断られて、HITACHIに相談したところ、快く引き受けてくれたらしいというのである。これも「口は出すが、金は出さない」上方商人の見本のような話だが、本当なのかなと、そうとう話を盛っているような気がするが、まだまだ続きます大阪観光、いざ出陣。(つづく)

三吉うどん
ジャンル うどん、そば
お問い合わせ:非公開
住所:大阪府大阪市浪速区恵美須東1-18-6
交通手段
大阪メトロ堺筋線「恵美須町駅」 徒歩3分
恵美須町駅から373m
営業時間:11時から15時

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