No.15 東京都武蔵野市武蔵境の亜細亜大学近くの「油そば」

 もう36年前になるだろうか、社会人になると同時に東京の中央線東小金井駅のそばのアパートを借りて住んでいたことがあった。その当時食事をするのに一番通っていたのが駅近の中華料理屋「宝華」だった。そこは何を食べても間違いなく旨く、また、主人(キューピーさんを大人にしたようなカワイイ主人)のもと、3、4人の従業員がちゃんとした分業体制で働いており、客捌きも気持ちよく、良店を越え名店になりそうな雰囲気を持っていた。
 通って半年ぐらいたった時にメニューに「宝そば」なるものが追加され、好奇心にかられすぐ注文して食べたのが「油そば」の初体験だった。
 ただ食した印象は、何だか不思議?なものだなあーと感じ、旨いとは思わなかった。ところが、その後、何度か注文し食べていくうちに、あら不思議、なかなか「良い」のですこの食べ物。それから、また思い出しては食べるようになり、私の好物になっていったのである。今でこそ、ある程度の広がりを持って多くの人には認知されてきたが(しかし、つけ麺よりはメジャーではない)、その頃は「油そば」など知っている人はこの武蔵野市の近辺にしかいなかったのではないだろうか。まだ知らない人のために、どういう食べ物かを説明させていただくと、スープのないラーメンで、どんぶりの底にごま油や、しょうゆベースのタレが入り、その上にラー油、酢などの調味料を好みでかけ、麺に絡めて食べるもので、単純に「汁なしラーメン」を想像していただければと思う(上の写真はネギ増し)。発祥は諸説あるが、昭和30年代に中央線の武蔵境駅の「珍珍亭」が開発したという説が根強い。一時上述の「宝華」説があったが、それが違うことは私が証明できるのである。当初は「珍珍亭」の近辺の人と亜細亜大学の学生の腹を満たすために存在していた<フード>が、数十年たって、東京一円に広がっていったのであろうということか。
 最後に4年前に「油そば」について記述したもので締めくくらせていただきたい。

 関東圏では、すでに普遍化し、専門店も数多く出来てきた<油そば>。
 別名汁なしラーメンと言われ、店独自のタレを丼ぶりに敷き、その上に熱い麺を、そしてチャシュー、メンマ、ねぎ、などのラーメンの定番具材(店により様々)を添え、それを一気にかき混ぜて食す。お好みに合わせてラー油、酢などを入れると、また味変してオツなものになる。
 そもそも30年ぐらい前までは、武蔵野地区以外では、ほとんど食べられなかった。しかし。現在では、チェーン展開する店が出るほど一般に普及している。特に若者は今やラーメンを食べるのとは変わらない日常食として親しんでいる。筆者も好きだが熱く食べられているのは関東だけのような…。
 武蔵境の「珍珍亭」が元祖といわれ、店は連日多くの人で賑わっている。近くに「丸善」という店もあり、この2軒によって「油そば」文化が形成されたと言われている。もともとは近所の人と亜細亜大学の学生のためだけの店だったのかもしれない。きっと亜細亜大学のOBは、他で油そばを食べると「やはり油そばは珍珍か丸にかなわないな<何だかエロイ>」と呟きながら、一人悦に入っているのではないか(こりゃ失礼)。その他吉祥寺「ぶぶか」は油そばを浸透させた貢献度大の店。ちなみに筆者は東小金井の「宝華」の宝そば(油そば)を贔屓にしている。32年前、この「宝華」で初めて油そばを食べた時の奇妙な驚きは今でも忘れられない。(『東京五大』東京発祥料理より)

 因みに、「珍珍亭」は麺、スープなどを通信販売しているが、多くは亜細亜大学のOBからの注文であるという(何と、これぞソウルフードと言わず何という。※様々な大学のソウルフードも今後紹介予定)。

※先日、数十年ぶりに、東小金井の「宝華」に行ったが、相変わらず店は繁盛していたが、キューピー主人の姿はなかった。もう引退してしまったのか、たまたま不在だったのかそれとも……。ご存じの方はこのコメント欄にてお教えいただければ幸いです。

珍珍亭
住所:東京都武蔵野市境5丁目17−21 コーポ西原
営業時間:11時~16時
定休日:日曜日
電話:0422-51-2041

中華料理 宝華
住所:東京都小金井市東町4丁目46−12
営業時間:
火~金 11時30分~15時00分
          17時30分~21時00分
土・日 11時30分~21時00分
定休日:月曜日
電話:042-386-5355

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